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戦死 インパール牽制作戦 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 1984/12/10 |
JAN | 9784167151034 |
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戦死 インパール牽制作戦
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戦死 インパール牽制作戦
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棚橋真作元陸軍大佐は、昭和21年にGHQから出頭命令を受けると自決し果てた。ビルマでは、インパール作戦の前哨戦となる第31号作戦(第一次アキャブ作戦)、更にインパール作戦の牽制作戦となる「ハ」号作戦(第二次アキャブ作戦)に第55師団第112連隊長として参加した人物である。その彼が...
棚橋真作元陸軍大佐は、昭和21年にGHQから出頭命令を受けると自決し果てた。ビルマでは、インパール作戦の前哨戦となる第31号作戦(第一次アキャブ作戦)、更にインパール作戦の牽制作戦となる「ハ」号作戦(第二次アキャブ作戦)に第55師団第112連隊長として参加した人物である。その彼が、戦後になってなぜGHQの出頭命令を受けて自決したのか。第31号作戦で捕虜としたキャベンディッシュ旅団長の死、「ハ」号作戦で部下の将官に苛虐を尽くした花谷正師団長との確執、スィンズエユワ包囲戦からの独断撤退と連隊長解任。苛烈を極めた戦闘の経過をたどりながら、著者は棚橋元大佐自決の真相を探っていく。吉田裕『日本軍兵士』でも述べられていたとおり、戦地での餓死、戦病死、自殺はしばしば「戦死」と書き換えられた。それは遺族を慮ってのことでもあり、作戦そのものの拙劣や軍隊内の精神的・物理的暴力の隠蔽でもあった。特に第55師団では花谷師団長による凄絶な制裁が行われ、理不尽な理由で自決を命じられた者、精神的に追い詰められて死を選んだ者もいる。彼らはもちろん「戦死」扱いとされた。スィンズユエワ包囲戦で総攻撃を数度にわたり延期し、結局独断撤退した棚橋元大佐も花谷師団長から自決を命じられていた。ビルマで自決していれば確実に「戦死」扱いとされていたことだろう。著者が本書のタイトルを『戦死』としたのは、棚橋元大佐があえて戦後の自決を選んだことを通じて、様々な「戦死」の実相を明らかにしたかったのではないだろうか。
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昭和19年、ビルマの第55師団はインパール作戦の支作戦であるハ号作戦を行う。 この本の影の主人公は第55軍の花谷正師団長である。 パワハラということなのだが、その言葉でこれを表現するのが適切なのかどうか。 人間性どころか理性と合理性のかけらもない花谷師団長(満州事変の首謀者のひと...
昭和19年、ビルマの第55師団はインパール作戦の支作戦であるハ号作戦を行う。 この本の影の主人公は第55軍の花谷正師団長である。 パワハラということなのだが、その言葉でこれを表現するのが適切なのかどうか。 人間性どころか理性と合理性のかけらもない花谷師団長(満州事変の首謀者のひとりで陸軍大学卒)を見ると、戦争に勝つとか負けるとかいう以前に、組織が存在し得たほうが不思議だ。 そしてなのだが、ここには、陰鬱な顔をした自己保身屋の河村弁治参謀長が出てくる。私はどちらかというとこの人に興味を持った。この名前で検索すると、ずっと鉄道畑の人だったらしい。テクノクラートなんだろう。 私は、この、精神破綻者と冷たいテクノクラートの組み合わせを、他にも知っている。65年前の話ではなく、つい最近の身近な話で。 暴力を愛好する人間というのは、類型は変わらないらしい。 花谷正の葬儀は、葬儀委員長を国鉄総裁の十河信二が行い、岸信介が花輪を送った。花谷正は、ビルマというよりも、満州人脈だ。 ある種の国家社会主義であった満州のテクノクラート。その経験が戦後日本に還流された。その象徴が十河信二の東海道新幹線である。 私は日常的に東海道新幹線に乗る。その筆法でいうと、現代日本は満州帝国の遺産の上に築かれている。 しかし、満州がそうであったように、これは構造的に、花谷正や河村弁治のような人間を必要とする体制だったのではないか。 だから今も、私がたった数年前に、花谷と河村が現代に生まれ変わったとしか思えない人間に出会ったように、同じタイプの人間が再生産され、この社会の生態系の最底辺で、なんらかの役割をしているのではないか、そんなふうに思うようになった。
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