商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1991/10/01 |
JAN | 9784004120230 |
- 書籍
- 新書
ルソー
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ルソー
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ルソーの生涯と思想をコンパクトに解説している入門書です。執筆者は、編者の桑原武夫のほか、河野健二、樋口謹一、多田道太郎の4人です。 ルソーといえば、その狷介な性格を示す数々のエピソードと、「自然に帰れ」というスローガンとがあいまって、狂気と見紛うほどのラディカリズムの持ち主とい...
ルソーの生涯と思想をコンパクトに解説している入門書です。執筆者は、編者の桑原武夫のほか、河野健二、樋口謹一、多田道太郎の4人です。 ルソーといえば、その狷介な性格を示す数々のエピソードと、「自然に帰れ」というスローガンとがあいまって、狂気と見紛うほどのラディカリズムの持ち主という印象を漠然と抱いていました。もちろん本書もそうした側面に触れられてはいますが、それ以上に、ルソーが理性と感情のバランスを重視していたということが印象的でした。 ルソーは、ディドロなどの百科全書派の合理主義を批判しています。ただし、百科全書派が力点を置いたのは、人間と自然の法則を認識する知性、すなわち道徳から切り離しうるような「理論理性」であり、ルソーはこうした理論理性の偏重を批判していました。理性は知性を含みながらも、人間の行動に関わるような道徳的判断力を意味していたと本書では説明されています。ここに、カント以前における実践的な理性の概念を見いだすことができるように思えます。ルソーは、このような性格をもつ理性と感情との連続的なつながりを見ようとしており、『エミール』では「自然」の善性によって育まれた「良心」において理性と情念とが結びつくはずだと論じています。だからこそ、「良心」の命令にしたがうとき、人間は「自由」だと考えられることになります。 カントがルソーの何を引き継ぎ何を引き継がなかったのかということも、ここから考えていくことができるのではないかという気がします。
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