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「開かれた地域主義」とアジア太平洋の地域協力と地域統合 APECの適切性と親和性についての実証的研究
4,180円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | パレード |
発売年月日 | 2011/04/01 |
JAN | 9784434155246 |
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「開かれた地域主義」とアジア太平洋の地域協力と地域統合
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「開かれた地域主義」とアジア太平洋の地域協力と地域統合
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本書はアジア地域統合のツールとしてのAPECの親和性を検討・論証するものである。 現在、アジア地域を統合する組織や制度は数多く存在する。代表的なものはASEAN、EAS、APECとなる。これらはそれぞれ意味合いや方向性は異なるが、何らかの力学によって地域間協力を強めるというベクトルは同じである。しかしながら、それを推進する際に障害として際立ってくるのがアジアが抱える多様性である。例えば、既に地域協力を確立しているEUと比較すると、EUがキリスト教的イデオロギーに支えられた統合を構築しているのに比べ、アジアでは各国ごとに宗教、文化、慣習が全く異なっている。この差異性は統合を考えた場合、明らかに障害となることは否めない。従って、アジア地域統合のあり方として、その方法を価値意識の共有(ゲマインシャフト)ではなく、機能的な側面での相互協力(ゲゼルシャフト)を重視すべきだと筆者は主張する。実際に現在のアジア地域統合に鑑みれば、ASEANやAPECは名前だけの組織であり、実際にはFTAを基にした制度的・機能的な地域統合が主立っている。 制度面での統合を重視した上で筆者が提唱するのはAPECによるアジア統合の可能性である。実際のアジアではAPECに変わってASEANが統合の主体だと考えられているが、筆者によればこれは間違いである。本書では様々な切り口から、アジア統合にかかるASEANの劣位性を論じているが、特に指摘すべきはアジア地域の安全保障にかかる問題であり、それはつまるところアメリカと中国に関わる問題である。東アジア地域において中国は紛れもなく大国としての地位を築いてきたが、これは一方で当該地域のパワーバランスを著しく乱す現象だとも捉えられる。ASEANにはASEAN+3として、そしてAPECにも中国は加盟しているが、経済的な側面から見れば中国は不可欠だといえる。そこでアジア地域における中国の経済性を活かしつつ、当該地域のパワーバランスを秩序付ける役割を担うのが米国である。この米国の存在に鑑みれば、地域統合におけるAPECの優位性は明らかである。なぜなら、ASEANにはアメリカは所属していないが、APECには所属しているからである。 歴史的な事実やそれぞれの枠組みでの制度など、様々な切り口から緻密な分析を与えている本書は、紛れもなくアジア地域統合に対して重要な示唆を与えるものである。しかしながら、その分析にはある種の単純さを指摘することもできよう。例えば、筆者は米国がAPECの枠組みに加盟することにより、米国を基準にした普遍的なイデオロギーがアジア地域統合の際に有利に働くと主張する。この点に関して、筆者は「なぜ普遍的なイデオロギーが有利に働くのか」という点は論じていない。例えばアジア地域における「アジア的価値」に基づいた地域多様性の観点に鑑みると、必ずしも普遍性を持ったイデオロギーがこれら地域を統合することができないと反論できるのではないだろうか。
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