ドイツを焼いた戦略爆撃1940-1945
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ドイツを焼いた戦略爆撃1940-1945

イェルクフリードリヒ【著】, 香月恵里【訳】

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ドイツを焼いた戦略爆撃1940-1945

7,260

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2011/02/21
JAN 9784622075516

ドイツを焼いた戦略爆撃1940-1945

¥7,260

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2017/01/14

ぼくらは戦争に負けて日本がどうなったか、よく知っている。広島、長崎の原爆も、東京大空襲も、沖縄戦も、旧満州からの引き上げやシベリア抑留も、GHQ占領下の日本も、本で読んだりテレビや映画で見たり、祖父、祖母の世代に直接聞いて知っている人も少なくないだろう。どこの爆撃で何人死んだ、で...

ぼくらは戦争に負けて日本がどうなったか、よく知っている。広島、長崎の原爆も、東京大空襲も、沖縄戦も、旧満州からの引き上げやシベリア抑留も、GHQ占領下の日本も、本で読んだりテレビや映画で見たり、祖父、祖母の世代に直接聞いて知っている人も少なくないだろう。どこの爆撃で何人死んだ、ではなく、逃げ惑う頭の上から爆弾が落ちてきて、家族や知り合いが焼け死んでしまった記憶として知っているのだ。 一方、同じ敗戦国だったドイツやイタリアがどうだったのかは知らない。ヒトラーが負ける過程で戦線がどうなったかは読んだし、ドイツのユダヤ人迫害についても知っているけれど、ドイツの普通の人が戦争でどんな目にあったのかは知らない。興味もない。ナチスがやったことを考えれば、ザマミロと思っている人だって少なくないだろう。 ということは、世界からは日本もそう見られているのだろう。 本書は特に爆撃に着目して、ドイツの被害を克明すぎるくらい克明に記している。◯◯で何人、◯◯で何人・・・という記述が延々と続く。連合軍が科学として効率の良い爆撃、放火の方法を検討していく過程には戦慄する。人の命を数値化すること。それが戦争の本質だ。

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2016/10/17

ドイツと第二次大戦といえば、誰しもすぐに思い出すのはナチスの戦争犯罪だろう。 だが、戦争とは相手があってするものである。ドイツが一方的に攻撃側だったわけではもちろんなく、連合国側も相応の攻撃を行い、その勢いが勝っていたがゆえに勝利を収めたわけである。 本書は、ドイツ国内の都市が...

ドイツと第二次大戦といえば、誰しもすぐに思い出すのはナチスの戦争犯罪だろう。 だが、戦争とは相手があってするものである。ドイツが一方的に攻撃側だったわけではもちろんなく、連合国側も相応の攻撃を行い、その勢いが勝っていたがゆえに勝利を収めたわけである。 本書は、ドイツ国内の都市が爆撃された記録を網羅的にまとめたものである。著者はドイツ人歴史家・ジャーナリストであり、ナチスの戦争犯罪に関する著書も多い。 ナチスの負の歴史を背負ったドイツでは、自国が受けた被害を声高に語ることが、ある意味でタブー視されてきた。そうした流れもあって、ドイツ全土に渡る民間人対象の爆撃に関してまとめられた本は、本書以前にはほぼなかった。ドレスデン爆撃(*カート・ヴォネガット・ジュニアの『スローターハウス5』はこの爆撃を題材としている)は比較的よく知られているが、爆撃を受けたのはドレスデンだけではない。リューベック、シュテッティン、ダンツィヒ、ケーニヒスベルグ、ハノーファー、ブレーメン、ヒルデスハイム、ゾースト、ボン、クレーフェルト、ケルン、マインツ、トリーア、アウグスブルグ、ミュンヘン、ライプツィヒ、ベルリン、その他、挙げきれないほど多くの市町村。北部、西部、東部、南部。大都市、小村、商業地域、軍事地区、工業地域、歴史ある街。至る所に爆撃があり、多くの人が命を落とし、建物は瓦礫と化し、書籍や絵画・文化財が灰となった。 ドイツの劣勢が明らかになった後でも、各地への爆撃は続き、地図上をしらみつぶしにチェックしていくかのように、軍事的な戦略とはもはや関係のない、民間人相手の攻撃が続いたという。 20世紀の戦争は、空爆というそれまでになかった攻撃形態を生んだ。地上の肉弾戦と異なり、爆撃機から爆弾を落とすことで、成功すれば自国の戦闘員は被害を受けることなく、地上に多大な打撃を与えることが可能となった。ドイツに落とされた爆弾は、地上の建物や家具を燃料として燃え広がるよう、研究を重ねられたものだった。爆撃による火災は、ときに火災嵐を起こした。火災嵐とは、大火災で空気が高温に熱せられて垂直に吹き上がり、地表付近が真空に近い状態となって水平方向の強風が起こり、それがさらに火災を煽る現象を指す。ドイツではブンカーと呼ばれる堅固な防空壕が地下にも多く作られた。爆撃だけならブンカーに避難してやり過ごしたあと、脱出すればよかった。だが、ひとたび火災嵐が起こると、ブンカー内自体が高温になり、避難したまま窒息したり、熱やガスで多くの人が死亡することになった。ドレスデンのように、互いに避難できるようにブンカー同士をつないでいたような場合、そうした通路が火の通り道となり、内部がすべて焼き尽くされることもあった。 爆撃手側とて、民間人に対して敵意を持っていたわけではない。爆撃手の多くは、軍事施設を攻撃すると思っていた。住宅地を爆撃すると知り、疑問を抱いたとしても、軍の指令に反することは難しかった。 いずれにしろ、ひとたび爆弾を落とせば、地上は地獄となった。 本書では、多くの街の数値的な記録や証言を集め、爆撃下の街で何が起こったかを再構成している。本文460ページ、2段組でボリューム自体も相当だが、内容も相当ハードである。 つくづく、正義のための戦争など嘘だと思う。 法は、こうした市民相手の爆撃を裁く術を持たない。特に、戦勝者側の空爆が、戦争犯罪として裁かれたことはない。 これが違法でないなどということがあってよいのか、と茫然とする。 都市に対しての壊滅的打撃は、被害者が何人であったのかすら覆い隠す。 21世紀の戦争は、20世紀の戦争より破壊的になることは確かだろう。 戦争犯罪をなくすためには、戦争自体をなくすしか道はない。 重いが目を見開かされる1冊である。

Posted by ブクログ

2015/01/21

第二次世界大戦中、日本同様ドイツでも連合軍の戦略爆撃による甚大な被害がもたらされたが、その内容を記録したものである。 連合軍の爆撃の考え方は実に合理的であり、対象がどんなものであるかはなんの考慮もなされない。 何百年にわたり人々の敬意を集め大切に保存されてきた歴史的に大変価値...

第二次世界大戦中、日本同様ドイツでも連合軍の戦略爆撃による甚大な被害がもたらされたが、その内容を記録したものである。 連合軍の爆撃の考え方は実に合理的であり、対象がどんなものであるかはなんの考慮もなされない。 何百年にわたり人々の敬意を集め大切に保存されてきた歴史的に大変価値のある建物はいとも簡単に消失し、またかけがえのない命もまた、なんの考慮も無く失われていった。連合軍にとっては攻撃目標はただの地図上のものであり、計画的に機械的に行われていく。ただそれだけなのだ。 日本の中国での蛮行が度々国際的に喧伝されているが、それとドイツや日本が受けた空襲被害のどこか違うのか、それは敗戦国であるからとか戦争を始めた責任があるというのはあまりにも不公平な気がしてならない。 最後に京都が空襲被害を免れたのは偶然が重なった幸運な結果だったようだ。なぜならドイツにあるもっと古く歴史的に価値のある建物の多くが、無思慮な爆撃により永久に失われてしまったのだから。

Posted by ブクログ

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