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トゥルー・グリット ハヤカワ文庫NV
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2011/02/05 |
JAN | 9784150412326 |
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トゥルー・グリット
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トゥルー・グリット
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商品レビュー
3.3
7件のお客様レビュー
農場で世話をしていた男に父親を殺されたマッティ・ロス14歳がアーカンソー州で一番勇敢な(グリットな)連邦保安官(補)ルースターを雇って敵討ちにいく話。 マッティの昔語りという形で進む。 ジョン・ウェイン主演で映画化された西部劇「勇気ある追跡」の原作とのこと。
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ぼくは少女小説もウエスタンも両方好きだが、少女を主人公にしたウエスタンがあるとはついぞ知らなかった。 映画のいいところは、埋もれた作品が映画化され上映されるということになると、その原作小説などもしっかり書店に改めて並べてもらえることである。例え古臭い絶版本であろうとも。と...
ぼくは少女小説もウエスタンも両方好きだが、少女を主人公にしたウエスタンがあるとはついぞ知らなかった。 映画のいいところは、埋もれた作品が映画化され上映されるということになると、その原作小説などもしっかり書店に改めて並べてもらえることである。例え古臭い絶版本であろうとも。とりわけ、今をときめくコーエン兄弟などにより映画化されたりすれば、同じ復刊小説であっても、特等席に平積みされるようになる。なんとも有難い話だ。 この映画は3月中旬に上映されたばかりなので、合わせて映画も見ればよかったのだが、いつもののんびりさが祟って、今頃のチェックとなり、DVD化には少し時間を待つしかない、まさにタイミングを外した読書となってしまった。 にも関わらず、ぼくはこの小説に興奮を覚えた。かつての西部劇映画としてジョン・ウェインが主演して原作とかけ離れたヒーロー・ウエスタンに変えてしまった『勇気ある追跡』は、原作そのままのタイトル『トゥルー・グリット』でコーエン兄弟の手によりまさに原作に忠実な映画として作りかえられたらしいのだ。 コーマック・マッカーシーの『血と暴力の国』も『ノー・カントリー』という原題そのままにまさに原作どおりにコーエン兄弟はなぞってくれた。小説の静寂や間をコーエン兄弟は映画でも尊重してくれる。ジョン・ウェインの醸し出すアメリカ男の強さなどは、不要なのだ。 主人公の少女は父を殺され、ガンマンを雇って復讐の旅に出る。ガンマンを雇う、というと語弊があろう。何しろガンマン連邦保安官補なのだし、これに同行するテキサス・レインジャーと合わせて公務員なのだから。この二人をジェフ・ブリッジスとマット・デイモンが演じるのだろう。取り合わせが楽しそうだし、小説を読む間、顔をこの二人の役者に想定して読んでしまった。 しかし面白いのは、この二人が無鉄砲で、喧嘩ばかりしているのに比して、我らが11歳の少女マッティ・ロスは原題の日本にいても通用しそうなほど、世情に強く、賢く、世間のシステムに詳しい、ゆえに、三人のチームの中で最も頼もしいのである。 のっそりと始まる物語は、ロード・ノベルの様相を呈し、アメリカ西部の美しくも厳しい自然を移動してゆく。馬は疲弊し、彼らはキャンプして焚き火して水を汲み、ベーコンを焼いて、コーヒーで飲み下す。こんな過酷な旅をするだけでも少女には十分きついのに、彼女は敵と闘わねばならないのだ。 ラスト、思いのほか過激な死闘が繰り広げられ、彼女も試練を経験する。ここまで厳しい小説であったかと思われるほどに、ウエスタンは、甘さを排除し、少女の大西部に生きる意志の強さwと逞しさを描き切る。媚びなく、へつらわず、譲歩せず、ストレートに。だからこそ、この原作は二度も映画化されることになったのだろう。傑作、の名が相応しい古く懐かしい大西部少女冒険小説であるのだ。
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エンターテインメントは時代とともに変遷する。本書は、当時の人気作家、ロアルド・ダールに絶賛されているらしいが、スティーブン・キングやジェフリー・ディーヴァーが評価するかといえば「?」であろう。ただ、文体には見るべきものがある、というのは翻訳を通しても分かる。簡潔ながらもユーモアを...
エンターテインメントは時代とともに変遷する。本書は、当時の人気作家、ロアルド・ダールに絶賛されているらしいが、スティーブン・キングやジェフリー・ディーヴァーが評価するかといえば「?」であろう。ただ、文体には見るべきものがある、というのは翻訳を通しても分かる。簡潔ながらもユーモアを交えた口語調の筆致。聖書を引用することで得られる警句的な響きと西欧的倫理感への訴え。犯罪的な行為に漂う滑稽さ刹那さ。筆者は「アメリカ」の良心を書き遺そうとしていたと考えて差し支えない。時代背景に触れる読書人もいるが、僕もそれは否定しない。ヴェトナム戦争の泥沼化により、アメリカ国内に反戦運動が広がり、若者が世界的に反体制を叫んだ。本書が世に出たのは1968年。ロンドンでも、パリでも、ロスアンジェルスでも、そして東京ですら、若者がサボタージュし旧体制の打倒を唱えたわけだが、そもそも「古い」ってのはそんなにダメなことなのかね、という変化についていけないおっさんたちの良心の呼び声こそが『ホンマもんの勇気』だったのかもしれない(主人公であるマッティの語りの時制的「二重性」も皮肉と解釈できるかも)。
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