ポジ・スパイラル 光文社文庫

服部真澄【著】

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2011/01/11
• JAN: 9784334748982

商品レビュー

2023/07/03

『ポジ・スパイラル』は、環境ポリティカル・サスペンスとして、温暖化防止と環境再生をテーマにした興味深い物語でした。

物語は、番組キャスターの久保倉恭吾と環境調査会社の谷崎、そして都副知事の佐分利幹生と彼のブレーンである住之江沙紀という4人の主要キャラクターを中心に展開しています。彼らはそれぞれ異なる立場や目標を持ちながらも、環境再生と政治的利権の間で駆け引きを繰り広げます。

この小説は、温暖化問題を背景にした現実の課題と、個人の意思や政治的な意図との葛藤を描いています。登場人物たちの内面の葛藤や思考プロセスが丁寧に描かれており、彼らの決断や行動の背後にある理由や情熱に共感することができました。

特に興味深かったのは、「ポジ・スパイラル」という概念です。環境問題や温暖化防止において、従来の悪循環を断ち切り、ポジティブな変化を生み出すためには、発想の転換が重要であるという考え方が示されています。このポジ・スパイラルの理念は、読者に持続可能な未来を築くための希望を与えてくれました。

さらに、小説の舞台となる東京湾や有明湾の再生を通じて、持続可能なエネルギーの姿を描く点も印象的でした。海洋環境の保護と再生が、私たちのエネルギー資源と環境負荷の問題において重要な役割を果たすことを教えてくれました。

『ポジ・スパイラル』は、環境問題に対する理解を深めると同時に、人々の意識と行動の変革の重要性を訴えています。また、著者の情熱と知識が物語に反映されており、読者に環境問題への関心を喚起すると同時に、

具体的な解決策への探求を促すきっかけとなります。

『ポジ・スパイラル』は、エンターテイニングなストーリーテリングと環境問題への深い洞察を兼ね備えた素晴らしい作品であり、読者に考えさせられる一冊です。この小説を通じて、私たち一人ひとりが環境問題に取り組む重要性を再認識し、持続可能な未来を築くための行動を起こすきっかけとなることを願っています。

2011/12/03

海の開発による汚れ、破壊、これをどうしたら改善できるか、有明の干拓による弊害、また東京湾の開拓の干潟の破壊の復活をどうするか。
菱によるバイオエタノールの生産なんか本当にできたら良いのだろうが、実際にはどうなのかな？　まだ本が出てからも特に実際の動きが無いので、どうなんかなと思いますね。本当にできたら良いです。
まだ日本もこう言ったことが考えられることは悪くないと思います。
実際に起きないか・・・・起きてほしい。

2011/10/09

服部真澄氏の本は好きで、見つけると読んでいる。
シナリオが緻密で面白い物が多い。
諫早湾問題・・・これを読むまで正直忘れていた。
この本のように、カリスマ性のある人物が現れ、具現化するといいのだが。