商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2010/12/10 |
JAN | 9784062901079 |
- 書籍
- 文庫
暗い絵・顔の中の赤い月
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暗い絵・顔の中の赤い月
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商品レビュー
3.5
4件のお客様レビュー
戦争の負の面を描いた野間宏。これが太平洋戦争時代の真実であったと思う。戦争で人を殺したことでいつまでも心が病んでいる者、戦争で連れ合いをなくしたもの同士の出会い。また陸軍刑務所のむごさ、軍人の休暇時の哀れな売春による楽しみなど、旧帝国陸軍がいかに人道的におかしかったがわかる。
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「暗い絵」―― ブリューゲルの絵の描写が印象的だ。 草もなく木もなく実りもなく 吹きすさぶ雪嵐が荒涼として吹きすぎる。 はるか高い丘のあたりは雪にかくれた黒い日に焦げ、 暗く輝く地平線をつけた大地のところどころに 黒い漏斗形の穴がぽつりぽつり開いている……。 野間宏の卓越した筆致力。 この描写は、 特高警察監視下における 京大左翼活動家たちの苦境を 見事に表現している。 主人公・深見進介もまた活動家の一員だが、 他の仲間との距離感は複雑である。 仲間の一人は自分たちの行動を「仕方のない正しさ」と述べ、 活動の結果獄死を遂げる。 しかし、深見進介は言う。 「やはり、仕方のない正しさではない。 仕方のない正しさをもう一度真直ぐに、 しやんと直さなければならない。 それが俺の役割だ。 そしてこれは誰かがやらなくてはならないのだ」。 これは仲間と道を別ったうえでの発言ではあるが、 決して否定ではない。 そこには尊敬と肯定の想いがある。 これは深見進介=野間宏による、 そこに生じた歪みを引き受ける 苦渋の決断といえよう。 それは身が引き裂かれるような思いであったはずだ。 この畢生の決断と勇気を尊重したい。
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戦中、戦後の暗い日本、暗い思考を描いた作品。 「暗い絵」は解説に書かれてある通り、限定的な時代・場所を舞台としているので、時代背景などよく分からず、閉塞感だけは感じられました。 「顔の中の赤い月」はパートナーを失った男女の物語。男は失ってからはじめてその大事さがわかり、女は得た瞬...
戦中、戦後の暗い日本、暗い思考を描いた作品。 「暗い絵」は解説に書かれてある通り、限定的な時代・場所を舞台としているので、時代背景などよく分からず、閉塞感だけは感じられました。 「顔の中の赤い月」はパートナーを失った男女の物語。男は失ってからはじめてその大事さがわかり、女は得た瞬間から失った後も大事さを実感している。お互いのことを意識しながらも踏み出せず終わってしまう。感情移入しやすかったです。
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