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深沢七郎コレクション 流 ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2010/11/10 |
JAN | 9784480427731 |
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深沢七郎コレクション 流
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
深沢七郎のちくま文庫場版アンソロジー、この巻は小説集。先日の中公文庫と「みちのくの人形たち」だけが重複している。 民俗学的なようでいて民俗学でない、虚構の土着性がおもしろい「東北の神武たち」など。 すこぶる長い「千秋楽」が印象的だった。 役者の弟子である青年が、初めて舞台に立つこ...
深沢七郎のちくま文庫場版アンソロジー、この巻は小説集。先日の中公文庫と「みちのくの人形たち」だけが重複している。 民俗学的なようでいて民俗学でない、虚構の土着性がおもしろい「東北の神武たち」など。 すこぶる長い「千秋楽」が印象的だった。 役者の弟子である青年が、初めて舞台に立つことになったと思ったら、それは歌や踊りやヌードなどがごたまぜになったショーで、そこで妙な人物たちと出会い、3ヶ月に及ぶ興行の日々を延々と描いている。最後もオチらしいオチはなく、著者のエッセイのように、はぐらかしてストンと終わってしまう奇妙さ。だがこの長々と書かれた興行記は、深沢七郎ならではの味わいに満ちているし、何故か淡々と進む夢の中の世界であるかのように思えた。 夢の中のできごとと同じように、不自然なのに不思議と実在感がある。 凄く面白い小説だと思うが、この独特な味は、翻訳して海外の人に理解できるのかどうか。
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※このレビューにはネタバレを含みます
この本の一番最後に載っている「みちのくの人形たち」が読みたくて購入した.読みたかった理由は,昔どこかである人が,今まで読んだ中で最も怖いホラーとしてこの話を紹介していたためである. この本には6つの話が掲載されている.「東北の神武たち」と「揺れる家」,「千秋楽」,「女形」,「流転の記」,「みちのくの人形たち」である.「女形」のみ中編であり他は全て短編である.以下それぞれについて覚えている限りのあらすじと感想. 「東北の神武たち」:確か,寡婦が毎晩村の男に順番に抱かれにいくというときに,主人公だけ順番を飛ばされるという話.主人公の執着心が凄まじかった. 「揺れる家」:主人公は子ども.母親と祖父が通じており,父親がないがしろにされている家庭にいる.事の詳細が分からない子どもの目線から書かれているため,読んでいる側はいろいろと想像をする.ろくな人間が全然出てこなかったように思う. 「千秋楽」:ドンチョーという役者が師匠の代役として大きな劇場の舞台を経験する.数カ月後に舞台が終わる頃,ドンチョーはある事務所と契約し師匠から独立する.全編通じてドンチョーがいろいろな人と出会い関わる上で成長?していく. 「女形」:主人公は元女形の役者.老人ホームに入り,周りの人間にイラッとしながら,それを我慢することに快感を感じるみたいな話だった気がする. 「流転の記」:元役者の主人公が,死んだ先輩の役者の息子と芝居をする話.死の予感のようなものがテーマであるように冒頭にある.息子の演技に父親である先輩の面影を見て,主人公もその先輩の方に誘われているような気になる. 「みちのくの人形たち」:主人公は田舎のある村の家に招待される.その家には先祖に産婆がおり,子どもを間引くために赤ん坊を水に沈めて殺す役割を果たしていた事を知る.さらにその産婆は,贖罪として自分の腕を切り落としたという.今でもその家の仏壇には腕のない仏像が祀られている.帰り道,主人公は土産物屋で人形がズラリと並べられているのを見る.そして人形たちと殺されてきた赤ん坊を重ね,さらに今暮らしている村の人びとも一歩間違えばこの世にいないのだと思う. 確かに「みちのくの人形たち」は怖い話だった.「みちのくの神武たち」もそうだが,閉鎖的な地域での因習には,神秘性のある怖さを感じる.そこに暮らす人たちも,何を考えているのか分からない不気味さがある.
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