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吉岡清三郎貸腕帳 講談社文庫
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吉岡清三郎貸腕帳 講談社文庫

犬飼六岐【著】

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吉岡清三郎貸腕帳 講談社文庫

607

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2010/07/14
JAN 9784062767378

吉岡清三郎貸腕帳

¥607

商品レビュー

3.8

6件のお客様レビュー

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2021/06/14

時代小説。 吉岡清三郎の仕事は「貸腕屋」である。 剣客。剣の腕は確かだ。それで用心棒なり何なりで雇われればよいのだが、彼は自分を安売りしない。 その代わり、腕を「貸して」生計を立てている。日に一両取るとしても、それは一日一両で雇われているのではなく、値千両でもきかぬ腕を貸してやっ...

時代小説。 吉岡清三郎の仕事は「貸腕屋」である。 剣客。剣の腕は確かだ。それで用心棒なり何なりで雇われればよいのだが、彼は自分を安売りしない。 その代わり、腕を「貸して」生計を立てている。日に一両取るとしても、それは一日一両で雇われているのではなく、値千両でもきかぬ腕を貸してやって、その元本に対する利息を取っているという理屈だ。利息の額は、仕事の危なさや借り手の懐具合、そして清三郎の気分次第。十両や二十両に跳ね上がることもあるが、いずれにしろ、滞納したら取り立てには容赦がない。 彼の嫌いなものは「二」という数字、お人好し、子供に手を上げる者。いつも苦虫を噛み潰したような顔をしているが、それやこれやには訳がある。 依頼人も訳あり揃い。 商売敵に脅された商家、道場破りを恐れる道場主、金貸しの因業ばあさん、母が疾走してしまった幼女、夫の女を始末しようとする旗本の妻。 依頼人から話を聞き、清三郎が腕を貸してやってもよいと思えば、仕事を受けることになる。 吉岡という苗字、実家は憲法染めで知られる京の染物屋とくれば、読者にも追々事情は知れる。つまりは清三郎の家は、一条寺下り松でかの宮本武蔵に敗れた吉岡一門なのである。京流として知られた剣の一族であったが、これを契機に染物屋に転身、すでに何代かを経た。しかしなお、清三郎は自らの真の道は剣と定め、家業を嫌って江戸に出てきた。 家の再興を図りたいが道遠し。卑怯な戦法で家を潰した二刀流の剣士を叩きのめしたいが、相手は泉下に去って早百数十年。歯噛みをしながら金を貯め、家に着せられた汚名を濯ぐべく、捲土重来を期す。 つまりはそれが「不機嫌」の理由である。 家には1人、下女がいる。名はおさえ。人の好い質屋を助けてやったが、質屋は腕の借り賃を払えなかった。その借金の形に質屋の娘を使っている。娘は清三郎の仕事を嫌い、態度は氷のように冷たい。言いつけられた仕事はこなすし、顔立ちも悪くはない娘なのだが、如何せん、家の中は鬱々と暗い。 連作短編7編、それぞれ、清三郎が受ける依頼を描く。 清三郎は決して善人ではなく、貸した腕で血なまぐさい殺しも起こる。だが彼にはどこか一本筋の通ったところがある。この男の造形を好きになれるかどうかが作品を楽しめるかの分かれ道だろうか。 乾いているが、そこはかとないユーモアと、おさえと清三郎の一風変わった関係性も読ませどころ。

Posted by ブクログ

2017/05/04

犬飼さん作品の中ではこのシリーズが一番好き。 ハードボイルドタッチで人斬りシーンも満載なのに、陰湿さがないのでテンポ良く読める。 なんと言っても主人公・清三郎のキャラクターが良い。名前も聞きたくないほどあの剣豪を毛嫌いし、奇妙な理屈の貸腕業で荒稼ぎ。 いつも不機嫌で口数は少ない。...

犬飼さん作品の中ではこのシリーズが一番好き。 ハードボイルドタッチで人斬りシーンも満載なのに、陰湿さがないのでテンポ良く読める。 なんと言っても主人公・清三郎のキャラクターが良い。名前も聞きたくないほどあの剣豪を毛嫌いし、奇妙な理屈の貸腕業で荒稼ぎ。 いつも不機嫌で口数は少ない。しかし貸腕業の報酬(利息)代わりに女中として働かせているおさえは清三郎を更に凍りつかせる対応の冷たい女。 そんな清三郎とおさえの関係が少しずつ変化していくのは気になるところ。 最終話で出会った髑髏男との再会はあるのか。 第二作も楽しみ。

Posted by ブクログ

2012/03/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

雇われの用心棒ではなく、レンタルの貸腕屋である。 しかも、代金の利息の部分だけを頂くのだ。 頼まれた仕事には裏があるが、それも想定の範囲と ばかりに仕事は最後まで片づける。 仕事を引き受ければ訳は聞かずに実行するのみ。 相手をちょっと脅すのが、片腕を切り落とすくらい。 歩いているだけで、その人相風体と気迫に誰もが 歩く間合いを広げるのだ。 借金のカタに七屋の娘に見の世話をさせるが 無口な娘と清三郎の関係も面白い。 七話のどれもよく練れた話で、どれどれと入り込める。

Posted by ブクログ

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