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中央銀行は闘う 資本主義を救えるか
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本経済新聞出版社 |
発売年月日 | 2010/06/30 |
JAN | 9784532354350 |
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中央銀行は闘う
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商品レビュー
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大学の講義で使用した。 教授によれば、その問題が発生した時点において、入手することができない指標を用いて、危機の説明がなされているところがある。 その指標を用いて、その問題が発生した時点に対策を講じるのは不可能。 (後から、この時点の指標の変化が問題だったと、説明することは可能だが…それは後からなってみないと分からない)。 また、因果関係が逆なものもある。
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経済危機に対する各国中央銀行の対応やその役割の変遷について記載されてます。発足当時から懸念されていたユーロの”財政政策は各国独立””通貨、金融政策は共有”が抱える困難さについては初めて認識しました。その中で、物価安定に拘りまた憲法改正までして財政赤字を厭うドイツの今後の動向に注目したいと思います。筆者によれば、今後ギリシャが債務不履行した場合の損失をどこが引き受けるかという点での政治的な危機が存在し、ギリシャ問題はもはや当事国やECBの問題ではなくドイツの問題(ドイツの動向によってはユーロの動向が左右される)といえるそうです。その他、”マジックナンバー”として名目金利と名目成長率の関係で、不動産バブルや財政危機の可能性を論じている部分もおもしろかったです。
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竹森の最新作。サブプライムローンショック、リーマンショック後の世界経済を中央銀行の政策から眺める意欲作である。 29年のウォール街の株価暴落による大恐慌、31年の大手金融機関の倒産、リーマンショック後、EUのギリシャの財政危機などが縦横に経済学的に扱われ、かつ、歴史家の経...
竹森の最新作。サブプライムローンショック、リーマンショック後の世界経済を中央銀行の政策から眺める意欲作である。 29年のウォール街の株価暴落による大恐慌、31年の大手金融機関の倒産、リーマンショック後、EUのギリシャの財政危機などが縦横に経済学的に扱われ、かつ、歴史家の経済危機の扱い方をキンドルバーガー、バーナンキとの共著者である大恐慌論の歴史学者ハロルド・ジェームズなどを例に引きながら恐慌の在り方を再考しているところが、いかにも竹森らしくて面白い。少し引きながら、俯瞰的に見解をまとめながら理屈を説明しながら、「啓蒙」的に記すことに長けている著者である。読者に分からせることのできる学者である。 マスコミの経済記事だけでは読み取れないことが随所にあって、背景をマクロ国際経済学の理論で、易しく丁寧に説明してるので、とても全体像がつかみやすい。 例をあげれば、EUのギリシャ危機、アイスランド危機の扱いである。金融の信用経済の規模が、政府の財政の規模より大きくなってしまっているので、金融危機の救済、金融機関の財政を通じた資本注入=危機にある金融機関の株の購入による救済が、困難であるところ、ECBは救済策が打てるが、ギリシャに関しては、財政上の危機であるためその国の財政を長期国債を購入することによって、救済することはEUの規約財政債務をGDPの3%内に保つというルールの破棄に等しく、この政策を採用しがたいことになっている。 ECB、EUの中央銀行の「不胎化付き国債買い切りオペ」によって、ギリシャ財政危機を回避しようとしているのだが、これは、ドイツ政府、国民の税金の無駄遣いという批判かわすための「政治」的決断であるとする。何ともECBは後手に回り変な政策を打つものだと個人的には思っていたが、不胎化付きの国債買い切りオペだということ、これついては竹森のこの本を読むまでは分からなかった。 EUのユーロ圏は危機的な情勢にあるが、アイルランド、アイスランド、の経済危機は、金融部門が国家の財政規模より大きくなり、それゆえ、金融危機をイギリスの融資を踏み倒すことによって金融危機が解消し、それでもってひとまずの国家財政の危機は遠のいたとする。EUの主導国ドイツの緊縮財政と極端なデフレ政策にユーロ圏の他国にまで大きな影響を与えEUのリーダーとしてふさわしくないのではないかと疑問を呈している。 他に金利と名目経済成長率の差から成長率>金利であれば投資は大きく利を得ることができる「錬金術」のような経済社会であり、逆の場合、健全な社会経済を作ることになるとの言辞あったり、また、ギリシャはユーロ参加国であるからレートの変動がない固定相場制であるにもかかわらず、財政出動が有効ではなく、緊縮財政へとかじを切らされているとの指摘、 ドイツの長期金利とのスプレッドの差は開くばかりであると述べている。ギリシャは緊縮財政は採らされているのであって、それゆえ財政出動がなされていないとも思える。因果関係が逆のようにも思うが・・・・。 長期金利と短期金利のスプレッドの日米の比較により、日本のバブル崩壊期には、金融機関の巨大な利益の計上はなかったが、米国のバブル崩壊期には、崩壊時に即座の金融緩和、モゲージ証券の買い取りによってFRBの「保証」があって金融機関の巨大な利益の計上があったことが説明されている。 とかく学者の書き物は、学者っぽいだけの「理論」と実証だけで終わるか、経済危機を煽るだけでほとんど理論的なことも述べず、実証的なことも自分の「理論」擁護するだけの「実証」で煽ることになるか、どちらかであるが、竹森の本書は、ドイツのスペインへの大手金融機関の多額の融資とその焦げ付きを恐れるドイツ政府、国民の極端なデフレ志向による自分たちの税を他国救済の使われる嫌悪感からの政策的誤りへの誘因などがところどころに挟み込んであって国際経済の読み物としてもマスコミ的マクロ経済常識とは異なっていて知的刺激がある。もっともそうでなければ、 「学者」としての資質に欠けるともいえるのは、もっともなことだが・・・・。
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