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呪われたナターシャ 現代ロシアにおける呪術の民族誌
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呪われたナターシャ 現代ロシアにおける呪術の民族誌

藤原潤子【著】

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呪われたナターシャ 現代ロシアにおける呪術の民族誌

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内容紹介
販売会社/発売会社 人文書院
発売年月日 2010/06/20
JAN 9784409530405

呪われたナターシャ

¥3,300

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2018/01/13

呪術。 呪術師が持つその知識とちからは世代を超えて伝えられる。彼らによってかけられた呪いも、驚くべきことに、代々血縁に転移していく。 文化人類学が専門である著者が、ソ連崩壊後10年ほどを経たロシア連邦カレリア共和国の各地をフィールドワーク調査。 三代にわたる呪いに苦しむナターシ...

呪術。 呪術師が持つその知識とちからは世代を超えて伝えられる。彼らによってかけられた呪いも、驚くべきことに、代々血縁に転移していく。 文化人類学が専門である著者が、ソ連崩壊後10年ほどを経たロシア連邦カレリア共和国の各地をフィールドワーク調査。 三代にわたる呪いに苦しむナターシャという女性のライフヒストリーを出発点として、呪術など迷信としてまったく信じていなかった人々が、自らや周囲の人々の身に起きた現象を通して、呪術に絡めとられていく過程を現代ロシアの社会的背景のうえに解き明かし、民族誌として描き出す。 呪術をあらゆる階層の人々が信じ、「リアリティ」として受け止めていた17世紀以前、迷信化し始める18世紀、その認識が深化していく19~20世紀初頭、無神論が公式イデオロギーとなる、社会主義革命後のソビエト政権時代、そして呪術への信仰が再活性化するソビエト政権崩壊後、ポスト社会主義時代である1980年代半ば以降まで。 民俗学者、口頭伝承研究者たちが収集し、研究目的で出版された研究資料や、著者自身によるフィールドワークで得た呪術師や超能力者たちの証言によって呪術の実在を追っているが、そこには百年の間に二度との革命を経験したロシアならではの特異性と、それで語ることの難しい他文化との不思議な心理の共通性がかいまみえる。  つまり遺体は、何度もすでに探した岸辺で見つかったということである。この世と別の世界との境が「閉じられて」いると、近くにあっても見えない。ナターシャが呪術をおこなうことによって初めて境が開かれ、遺体が人びとの目に見えるようになったのである。(p.105) いくら他人から「あなたには呪いがかけられている」とアドバイスされても呪術を信じようとしなかったナターシャが、湖で行方不明となった妹の最初の夫の遺体を探すために呪術を行い、そして無事発見するというエピソードが紹介されている。 ナターシャの呪術に対する心境の変化を示す重要な場面だ。 私としては「この世と別の世界との境」が閉じたり開いたりする、存在しているのに見えなかったものが、あるきっかけで見えるようになるという考え方が興味深い。 この考え方はほかの文化圏にも、もちろん日本にもある。どこかで聞いたことがある“話”なのだ。 それは、ロシアでなくとも、そしてロシアのような歴史的土壌がなくとも、どんな国の、どんな民族の人々にも「呪術」に絡めとられてしまう可能性があるということなのだろう。 ロシアで「呪術を信じる」と回答する人の数は7パーセントにすぎない。しかしその7パーセントという数字は、日本で呪術を信じている人も、やはり7パーセントくらいかもしれないのではないか。 そんな思いつきにとらわれた、ナターシャの告白だった。

Posted by ブクログ

2010/07/31

呪術なんてのがまだ現代ロシアにあるのか。 呪術は迷信にすぎないという観念があったがかかわった者は18世紀後半には、呪術で死刑に処せられることがあった。 無神論プロパガンダを鵜呑みにしたナターシャは呪われるという代償を祓うことになる。 問題解決における呪術の成功は、災いの原因として...

呪術なんてのがまだ現代ロシアにあるのか。 呪術は迷信にすぎないという観念があったがかかわった者は18世紀後半には、呪術で死刑に処せられることがあった。 無神論プロパガンダを鵜呑みにしたナターシャは呪われるという代償を祓うことになる。 問題解決における呪術の成功は、災いの原因としての呪術のリアリティをも核心させる方向へ向かう。 ソ連時代、呪術は禁じられていたが邪悪な目的でそれを行う者は存在し続けた。

Posted by ブクログ

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