人事万華鏡 私の人の見方・育て方

松下幸之助(著者)

• 販売会社／発売会社: PHP研究所
• 発売年月日: 1977/09/01
• JAN: 9784569510910

商品レビュー

2019/08/15

”北村三郎さんHPで紹介記事を読み、amazonマーケットプレイスで入手。

S52年 会長職を辞した直後の幸之助さんの率直な気持ちが語られている。「自分には学歴もなく、身体も弱かったので、人にお願いするしかなかった。だからこそ、任せる経営ができた」

＜読書メモ＞
・“人を使うは苦を使う”(p.28)
・各部署の責任者に「最高の熱意を！」(p.33-34)
　部を経営する熱意においては、だれにもまけてはならない。
・率先垂範の心意気(p.52-56)
　部下に任せるということはきわめて大事だけれども、その一方で、いつでも自分が率先垂範するというか身を挺してことにあたるという気迫を持っていなくてはならないと思う。
・部下の長所というものをみて、それを積極的に生かしていくことも大事だが、同時に部下の短所も知って、それを自分で、あるいは他の部下の力によってカバーしていくことも必要になってくる。（中略）
　それと同時に、上に立つ人は自分の欠点を部下の人たちに知ってもらい、それをカバーしてもらうようにすることが大事だと思う。(p.70-71)
・社長はお茶くみ業
　結局大事なことは、目標を与えることである。（中略）部長でも課長でも、一つの部署をあずかり、何人かの人を使う立場にある人は、つねにそのことを心がけなければならない。(p.89)
・長所をみる
　部下が小さな問題で過ちをした場合には、かなりやかましくいう（不注意や不用意によって起こることが多いから）
　大きな失敗というものは、たいてい一生懸命考えてやった上で起こる。だから、（中略）叱るよりも、むしろ同情するというか慰安する方にまわる。(p.130)
・人を使い、人を生かしていくについては、そういった組み合わせの適切さということをつねに考え、みなが楽しく仕事のできるような配慮をしていくことがきわめて大切だと思う。(p.135)
★上の人を使う (p.138-139)
　新社長 山下さん → 相談役 幸之助さん
　「相談役も相談役としての会社の仕事を大いにして下さい。それには事業部長とか営業所長の人を二、三人ずつでも呼んで、経営について話をしてください。それも考え方をいうだけでなく、なるべく具体的に『こういうところがいい』とか『あそこがいけない』というように話して下さい。」
・私自身についていえば、だいたいにおいて年功序列70％、抜擢30％というような感じでやってきたといえよう。これが反対に年功序列30％、抜擢70％になると非常に面白いと思うのだが、そうするには先にのべたように、小学校の教育から抜本的に変えていかなくてはならないだろう。(p.152)
★まず人間を知って (p.159)
　人を使う立場の人、責任者の立場にある人は、人間とはどういうものかということをある程度的確につかんでいなくてはならないと思う。いいかえれば人間の本質を知るというか、人間観を持つということである。
・自分を生かし、他の人を生かし、万物一切を活用して限りない生成発展を生み出していくことが人間としての使命であり、それが人間には可能だということである。(p.163)
・結局、人間には“欲と二人連れ”で、利によって動くという面と、（中略）世のため人のために尽くすところに喜びを感ずるといった面とがあるわけである。(p.170)
★いい人だけを使うということは虫がよすぎる。たくさんの人を使っていくのであれば、その比率だけは引き受けなくてはいけない。(p.172-173)”

2013/04/10

(1982.04.21読了)(1982.04.16購入)
（「BOOK」データベースより）
業績を伸ばし、発展し続ける企業の秘密は人にある。千変万化する人の心をとらえ、それぞれの人を育て、持ち味を生かす人材活用の妙味とは?著者の豊かな体験から具体的エピソードをまじえて綴る人事心得帖。