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ばれん 本ばれんの製法と使い方 Art Adventure Special1
4,180円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文遊社 |
発売年月日 | 2010/06/17 |
JAN | 9784892570650 |
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ばれん
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ばれん
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3月にへのへのもへじ文庫でやった木版画の三色摺のときに、村田美菜子さんに「ばれん」の話を聞いた。そのあと図書館でこんな本があるとおしえてもらったうち、すぐ借りられた版画の本のあと、どなたかが借りておられた『ばれん―本ばれんの製法と使い方』を待っていた。 これは「現役ばれん職人...
3月にへのへのもへじ文庫でやった木版画の三色摺のときに、村田美菜子さんに「ばれん」の話を聞いた。そのあと図書館でこんな本があるとおしえてもらったうち、すぐ借りられた版画の本のあと、どなたかが借りておられた『ばれん―本ばれんの製法と使い方』を待っていた。 これは「現役ばれん職人による本ばれんの製法と使用法」を、写真やイラストをたくさん使って解説した本だった。3月に「ばれんの中はこんな風になっています」と村田さんに見せていただいたものが、竹皮を切ってばれん芯の元となる「ばれん綱」を作るところから、当皮(ばれん芯を収める和紙製の皿状の器)の作り方、さいごは竹皮に包むところまで、懇切丁寧に手順を追って書いてある。 竹皮を裂くための「竹皮裂き用針」や、ばれん綱を巻いて芯として仕立てるための「仕立て用アクリル板」、当皮を作る際に使う糊「わらび粉渋糊」(和傘や提灯、金箔を貼る糊としても使われる)などの作り方もあって、もうほんとうにこの本に添って、材料を集め、道具を揃えてやっていけば、「本ばれん」が作れる(はず)と思えるつくり。 本の大半は「本ばれんの作り方」だが、末尾の二章では「ばれんの使い方」が詳しく解説されている。「いろいろな摺りの表情」という、ばれんの違いや圧の強弱、糊の有無、絵の具の多少、和紙の乾湿によって、どのように摺りが変わるかが写真で並べられていて、なるほどなーと思う。 末尾の三章「資料編」にあった、摺師50年という川嶋秀勝さんの手にある"ばれんの握りダコ"の写真には感動した。 ▼がっちりした指のそれぞれの第一関節に規則正しく並ぶ握りダコに、人が手で仕事をするということの意味がわかったような気がしました。(p.116) 川嶋さんは、いまでも見習い時代のばれんを使っているそうだ。 ▼小僧になりたてのころ、親方が傍らの箱の中をごそごそとかき回し、「これでやってみな」と、無造作に与えられたのがこのばれんだそうです。戦争中は多くの摺師が兵隊に行き、そしてその多くが戻ってきませんでした。川嶋氏が与えられたこのばれんも戦前のもので、誰が使っていたのかはわからないそうです。川嶋氏は、当皮の漆が剥げると何度も塗り直し、そのばれんを今も大切に使っています。「歌麿の顔はこのばれんじゃないと摺れないんだよ」と、ポツンと言われました。(pp.115-116) 職人たちが兵隊に行って、多くが戻らなかった、という箇所に、『一銭五厘たちの横丁』を思い出した。戦争は人の人生を狂わせ、人の手が伝えてきた技術なども失わせた。 「資料編」の中の"摺師とばれん"のページは、後藤さん自身の発見が書いてある。そのひとつ、東京の浮世絵の版元・アダチ版画研究所の会長で、アダチ伝統木版画技術保存財団の理事長をつとめる安達以乍牟さんの話。 ▼ばれん製作についても、意外なお話を伺うことができました。戦前はばれん屋という専門職がいて、摺師は自分でばれんを作らず、ばれん屋から買っていたそうです。ところが戦争を境に、ばれん屋という商売も消え、ばれんも、その技術伝達の手段もほとんど焼失してしまいました。終戦直後、復員した摺師たちは、仕事がぽつぽつ出てきたときに、ばれんがなくてたいへん困ったそうです。そのような状況の中で、安達氏は当時摺師の間では知る人ぞ知る、当皮作りの名人としても知られていた摺師・村田勝麿師らとともに、わずかに残ったばれんを解体して、ばれん製作の技術を研究したのだそうです。つまり現在のばれん作りの技術は、江戸時代から脈々と受け継がれてきたものではなく、終戦直後の摺師たちの努力によって復活した技術なのです。(pp.111-112) この本を書いた後藤さんは、志茂太郎の『ばれん』(日本愛書会、1973年)という本がなければばれんの道には進まなかったと思うと「あとがき」に書いている。読み物としても面白いという本のイラストは武井武雄だそうで、これは読んでみたい、見てみたい!と思った。 (4/25了) ※「志茂太郎」で図書館の蔵書検索をすると、『ばれん』は無かったが、上田徳三郎の口述を志茂太郎が筆録し、武井武雄が図解したという『図解製本』(名著普及会、1981年)がヒットした
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