商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1997/11/01 |
JAN | 9784003340639 |
- 書籍
- 文庫
戦史(下)
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戦史(下)
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ペロポネソス戦争を記したトゥーキュディデースの戦史、岩波文庫版の第3巻。本書では、アテーナイのシケリア(シチリア島)遠征と、アテーナイの政争、そしてアテーナイ攻防戦が描かれる。 あまりにも無謀、そして欲望に駆られたアテーナイのシケリア遠征(シチリア島はラケダイモーンのあるペロ...
ペロポネソス戦争を記したトゥーキュディデースの戦史、岩波文庫版の第3巻。本書では、アテーナイのシケリア(シチリア島)遠征と、アテーナイの政争、そしてアテーナイ攻防戦が描かれる。 あまりにも無謀、そして欲望に駆られたアテーナイのシケリア遠征(シチリア島はラケダイモーンのあるペロポネソス半島よりも、四国よりも大きいのだ)。そもそもの戦略の甘さと現地における戦術の迂闊さからシケリア遠征軍は全滅してしまう。 シケリア遠征で大打撃を被ったアテーナイに対し、ラケダイモーンは攻勢を仕掛けていく。数々のポリスを自陣営に取り込む工作が飛び交い、果てはギリシャへの侵攻を食い止めたはずのペルシャとの同盟まで飛び出す。 そんな中で、アテーナイは政治不全に陥り、貴族政への回帰が図られ、遠征軍との間で内戦に陥りかける。民主制とは何らかの道徳/律する何かがなければどこまでも暴走してしまうものであることがよくわかる。 そもそもの争いの背景には、民主制と貴族政の対立だけでなく、イオニア系とドーリス系の民族対立まで孕んでいることがあらわになる。 そして、前巻がラケダイモーンの勇将ブラーシダースに象徴される文字通り戦記物の色合いが強いとするならば、本書は奸雄アルキビアデースに引っ掻き回される政争と陰謀の巻といえる。 戦史はペロポネソス戦争の全てを記しておらず、残りはクセノフォーンのギリシア史に続くが、著者の筆は徹頭徹尾冷静な目で事実の記述から個々の心情までをも洗い出そうとする。 正直、戦史は文章の密度が濃く、読みやすい本ではない。それでも、ペロポネソス戦争をトーキュディデースの冷徹な文章を通じて読むことは、文学的、歴史学的、政治史的観点から、大きな学びであろうと思う。
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