熊田千佳慕の言葉 私は虫である 「生きる言葉」シリーズ

熊田千佳慕【著】

• 販売会社／発売会社: 求龍堂
• 発売年月日: 2010/04/12
• JAN: 9784763010056

商品レビュー

2022/12/07

　この本を開いて、まず一枚の熊田さんの写真に目を奪われました。地面に横ばいになって、たんぽぽをスケッチしている写真。その瞳があまりに綺麗で、目を離せず見つめ続けているとなぜか涙が出できました。たんぽぽを慈しみ、たんぽぽと同化している感じが伝わってきて、この方の無垢な佇まいに衝撃を受けたのかもしれません。

　その後、数ページ作品などの写真が続き、
「よく親父に言われました。乞食になっても王様になっても、愛は忘れるなって。」
の言葉。この方の瞳にここまで惹きつけられたことに納得しました。

　熊田千佳慕（ちかぼ）さん、細密画家・童画家。千佳慕さんの言葉が載っています。

○身のまわりにあるものに愛を感じ、美しさを感じ楽しいひとときを持ち、生活の中に豊かな感性を持つことが本当のゆとりである。現在騒がれている学校や社会のゆとりは、ただ、単なる休む時間であり遊ぶ時間である。精神的なものを伴っていない。

○ゆとりのない芸は面白みも楽しみもない

○過ぎ去ったことは置いておかないと、先へ進めない。

○酒もたばこも飲みません。17 、8の時に、将来小さい人たちのために仕事をするには体だけでもピュアにしておこうと思って、それでお酒とたばこは飲むまいと決めたんです。

○色がまだ《色》として見えるうちは本当の色ではない。《色》が自然の中に溶け込んでこそ真の色である。

　大切なことをいつの間にか心の深いところで失っていた自分に、社会に、気づかせてくれる、はっとさせられる、でも優しい温かい言葉が溢れていました。

2021/08/26

色がまだ色として見えているうちは本当の色ではない。色が自然の中に溶け込んでこそ真の色である。

自然は美しいから美しいのではなく、愛するからこそ美しいのだ。

ふっと心が温まるそんな本です。

2021/01/12

自然の目線と一緒になって作品を描いた著者。植物や昆虫の目線にならないと描けない作品ばかり、だからこその「私は虫である」なんですね。作品を生でみたいと無性に思いました。わたしも自然を愛する一人として尊敬する著者です。