王のしるし(下) 岩波少年文庫596

ローズマリサトクリフ【作】, 猪熊葉子【訳】

• 販売会社／発売会社: 岩波書店
• 発売年月日: 2010/01/15
• JAN: 9784001145960

商品レビュー

2024/07/20

替え玉の王が最期に選んだのは。

リアサンを追い詰めたフィドルス。マイダーも現れ、いよいよ復讐を成し遂げる時が近付く。しかし2人の計画は失敗し、捕えられてしまった。隙をついて逃げ出したマイダーはリアサンを道連れに身を投げる。ローマ軍に捕らえられたフィドルスは取り引きを持ちかけられる。

いつフィドルスが巻き込まれた運命から解放されるのだろうと考えていた。マイダーは見事に本懐を成し遂げる。その時、フィドルスは「王」として、残る氏族のために自分の命を捨てた。奴隷の身分から自由になり、何をしてよいのかわからずに自暴自棄になっていた頃とは異なる命の使い方を選んだ。

ある程度展開は予想できたとはいえ読み応えのある作品だった。この後、マーナとその息子を王として、それをコノリーが守り、ダルリアッドは続いていくのだろう。

2023/05/05

紀元0年前後を舞台にしたサトクリフの作品。
剣闘士フィドルスは自由を手に入れたが、身の振り方に戸惑っていた。
彼に持ちかけられたのはケルト族の不具にされた王子の身代わり。
簒奪された王位を取り戻し、彼の（身代わりとなった王子の）部族の地位を復権させるべく尽力する。
人が生きるための目的とはなにか、自分のものではない人生でも目的となりうるのか。
主人公はすでに大人であり、成長物語としての側面はないが、幾つになっても考える生きる目的というものを考えさせられる作品。

2023/04/23

途中で中断したら何だかわからなくなった。目をつぶされて王位を簒奪された悲劇の人だと思っていたマイダー、なんだよサイコパスじゃないかとガッカリ。
この人の歴史ものはかなりの頻度で主人公が障害を負う。主人公フィドルスは自慢の容貌を無惨に傷つけられる。作者自身の身体的事情が反映されているのだろうか。