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新年の挨拶 同時代ライブラリー327
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1997/12/18 |
JAN | 9784002603278 |
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新年の挨拶
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これはエッセイではあるのだが、 よくある主観カメラ的な世界を映したものではない。 もちろん、ごく私的なことからはじめられているのだが、 その発話する私の届けたい相手、反響をうかがいたい相手が これらのそれぞれの断章の中に織り込まれている。 大江健三郎が戦後派...
これはエッセイではあるのだが、 よくある主観カメラ的な世界を映したものではない。 もちろん、ごく私的なことからはじめられているのだが、 その発話する私の届けたい相手、反響をうかがいたい相手が これらのそれぞれの断章の中に織り込まれている。 大江健三郎が戦後派であることは これらの不透明な他者の存在が確信させてくれる。 穏やかで何かみずみずしさを感じる本だった。 "僕は、傷ついている父親を見て深い印象を受けたし、かつ早く父を失ってしまったために、うまく大人になりきれていないところがあるように思うのです。端的に、僕は誰に対しても、権威ある強い者のやり方で命令することができない。サルトルが、自分は笑いながらでしか命令することができないといっている、あれです。"(p.88) 子としての自分を振り返りながら、この後、父としての自分を振り返る。ある種の不能としてとらえているようなところがあるが、いくらかの悲しみもありつつも、これでいいとも思っているような具合だった。 強くあることは望ましいわけでもなく、そうできるというのでもなければ、 そのうえで、幸福を見つければいい。
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