新博物館学 これからの博物館経営

小林克【著】

• 販売会社／発売会社: 同成社
• 発売年月日: 2009/10/09
• JAN: 9784886214881

商品レビュー

2017/06/25

江戸東京博物館、東京都写真美術館で学芸員を務めた著者による、実践的博物館論。著者の経験に即した記述や、博物館での経営とはどうあるべきなのかについての著者の私見が多く、通常の博物館学のテキストとして読むとちょっと肩すかしをくらうかもしれない。
ただ、著者の主張する、「博物館にとって厳しい現状の中で、博物館も変わっていかなくてはならない。ただ、やみくもに新しいものを追い求めるのではなく、博物館に合う形で変革を進める必要がある」「学芸員は館の全体を見て、館経営についても考え、調査研究・展示を行いつつ、そのうえで絶えず集客や収支、収益についても考慮する必要がある」といった考え方は、これからの学芸員が持つべきマインドを指し示していると感じた。
学芸員の中には、「博物館・学芸員は聖域」的な意識の方が少なくないと見受けられる中で、著者のように、学芸員としての矜持を持ちつつ、博物館・学芸員を相対化して見ることができ、実践的に博物館改経営に取り組まれている学芸員の方には敬意を表したい。

2012/02/21

教科書としてはよいと思うのですが顧客に焦点があてられていないような気がしました。
「これからの博物館経営」という副題がやむなしいかもしれません。

項目としては、地域とか、題材はあるのになぜだろう。

顧客満足という観点で、もっと参加型の活動を取り上げるとよいではないでしょうか。
見せるだけでなく、触る、動かす、考える、やってみる、ふりかえる。
訪問者のいろいろな視点での整理が欲しい。
各国の博物館のよいところも列記されていない。
ミュンヘンのドイツ博物館で、多くの体験学習ができるのがよかったと思った。
体験学習の質と量を問うべきではないのだろうか？
大学の教科書のような、味気ない整理だと思われる。