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百人一首の歴史学 NHKブックス1143
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本放送出版協会 |
発売年月日 | 2009/09/23 |
JAN | 9784140911433 |
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百人一首の歴史学
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世に知られたる小倉百人一首を歴史学の文脈で読み解くという試みの書。百人一首に採録されている歌人を「神と人」「男と女」「都と雛」「虚と実」の四つの切り口からながめ、最後に百人一首が中世以降どのように民衆に受け入れられたのかを考察している。 それぞれの切り口にはどんな歌人があては...
世に知られたる小倉百人一首を歴史学の文脈で読み解くという試みの書。百人一首に採録されている歌人を「神と人」「男と女」「都と雛」「虚と実」の四つの切り口からながめ、最後に百人一首が中世以降どのように民衆に受け入れられたのかを考察している。 それぞれの切り口にはどんな歌人があてはめられているかというと。例えば「神と人」では、中納言家持ー陽成院ー菅家ー三条院ー崇徳院ー後鳥羽院ー鎌倉右大臣ー順徳院が一つの系譜として描かれており、いずれも政治的に廃車となり、後に怨霊になったり、神として祀られたりする人物である。こうやって眺めてみると、一つの大きな政治史の流れではある。この系譜の中で、陽成院から光孝天皇(光孝天皇も百人一首には採録されている。)これまで光孝天皇というのは、陽成院がかなり問題のある人物で、皇位を廃された時にたなぼた的に天皇の位が転がり込んできたのかなと思っていたのだが、系図や人間関係をつぶさに見て行くと、有力な皇位継承者の一人であったのがわかった。目から鱗であった。 これらの四つの切り口の中で、一番筆が乗っていたのは、「虚と実」ではないか。さすが説話や伝承を題材に中世史を筆者さながらというところである。 この章で取り上げられた歌人としては、小野小町ー蝉丸ー参議篁ー河原左大臣ー在原業平ー中納言定家ー式子内親王となっている。 いずれもその生涯が伝承に彩られた歌人たちである。 これらの歌人が、中世の代表的な文学形式である謡曲などで取り上げられることにより、本書では、観念の顕在化と言っているが、王朝文化の一つのイメージを民衆に植え付けることになる。そして百人一首が、王朝文化の代表的なイメージとして民衆に固定化され、受容されるに至る。 また、王朝文化は、中世の春の輝かしい記憶であり、中世の秋である後世の人々からは憧れるべきものとして受容されていったのであろう。 そして、今や小倉百人一首は、百首の歌を編んだアンソロジーを越えて、一つの伝統文化としての位置にあると思う。 最近、古典文学に若干の興味を覚えて、いくつかの作品などに触れると、授業で習っていた頃とは違う新たなイメージを感じることができる。中高生の時、古典って何のためにと思っていたけど、今になり、いいなあと思うことが出てきて、やっぱりあの時に習っていたことは無駄ではなかったし、もっとちゃんと勉強しておけばよかったなどと後悔することしきりである。
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藤原定家によって集められた『百人一首』とその歌人たちについて、さまざまな観点から解説している本です。 著者は『百人一首』における定家のねらいを、武家の台頭する中世において王朝時代の記憶を振り返るものとして理解しようとしています。そのうえで、百人一首の歌人たちについて、いくつかの...
藤原定家によって集められた『百人一首』とその歌人たちについて、さまざまな観点から解説している本です。 著者は『百人一首』における定家のねらいを、武家の台頭する中世において王朝時代の記憶を振り返るものとして理解しようとしています。そのうえで、百人一首の歌人たちについて、いくつかのテーマにそって紹介をおこなっています。歴史のなかで敗北した大伴家持や崇徳院、恋を歌った藤原道綱母や寂連法師、歌枕を訪ねてイメージの世界を形成するのに寄与した能因や西行、そして小野小町や在原業平が能などの後世の作品のなかでどのように造形されたのかということについても解説がなされています。 最後に著者は、近世および近代における『百人一首』の受容史にかんして、ごく簡単な見取り図ではあるものの、興味深い問題提起をおこなっています。
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