商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | PHPエディターズグループ/PHP研究所 |
発売年月日 | 2009/02/12 |
JAN | 9784569705392 |
- 書籍
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夜間飛行
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夜間飛行
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4.7
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ポテーズ25は、1920年代に設計されたフランス産の二人乗り複葉機である。 「夜間飛行」にて、荒涼としたパタゴニア大平原を通過してブエノス・アイレスへ郵便物を運ぶパタゴニアルートで、ファビアンが操縦したのはこの飛行機だという。 キャノピーも備えず、操縦席は剥き出しで風雨に晒され...
ポテーズ25は、1920年代に設計されたフランス産の二人乗り複葉機である。 「夜間飛行」にて、荒涼としたパタゴニア大平原を通過してブエノス・アイレスへ郵便物を運ぶパタゴニアルートで、ファビアンが操縦したのはこの飛行機だという。 キャノピーも備えず、操縦席は剥き出しで風雨に晒される。操縦士と無線士の二人が乗り込むのだが、操縦しながらでは声も届かず、小説にもあるように、後部席の無線士とはメモのやり取りでしか会話できない。 この飛行機で、地上経由地からの無線だけを頼りに進路をとって、夜の闇の中を飛ぶ。 それが「夜間飛行」だ。 そして、恐れていた事故が起きる。 南米各地からブエノス・アイレスへ向かう途中の三機のうち、パタゴニア便が嵐に飲まれて、命を散らす。 しかし、社長のリヴィエールは、部下であるパイロットと無線士の死という現実に苦悩しながらも、パタゴニア便からの荷を欧州へと届けるために待機していた機体に対して、予定通りのフライトを命じる。 西アフリカを経由してフランスに至る、大西洋を超える夜間飛行だ。 鉄道や船舶との輸送におけるスピード競争に勝利するべく始めた夜間定期飛行便。 この社運を賭けた新規事業を潰すことなく、継続させることこそが使命だと心に誓い、不屈の意志で進み続けるリヴィエール。 社長として保守的な政府や世論と闘い、事業が孕む重大な安全性リスクのプレッシャーに孤独に耐える。小市民的で家庭的な愛と悦びは、事業のもつ画期的な使命と相剋すると彼は考える。 ここに僕らは、何を思うか。 死を賭して挑むこと、尊い犠牲を乗り越えて進むこと、それが人の持つ価値だと賞賛する側に、僕は断じて立ちたくない。 では、航空機事故率が0.001%を下回る安楽な現代から、危険を承知で夜の空に挑んだ人々を非難できるのか。 “たぶん消息不明になってしまうであろうあの搭乗員たちも、幸せに生きられたはずだ。 何の名において、ぼくは彼らを個人の幸福から引きはがしたのか? 第一の原則とは、そんな幸福を守ることではなかったか? とはいえ、そんな黄金の聖域も、蜃気楼のようにある日、運命に従って消えてしまう。老いと死が、容赦なくそれらを破壊してしまうのだ。 それならば、人間の内には、救い出さねばならない他のもの、時を超えて持続するものがあるのではないか。さもなければ、行動には何の正当な理由もない” このリヴィエールの独白は、サン=テグジュベリ自身が抱えていた死生観のように思える。 「星の王子さま」では、王子は毒蛇に身を咬ませてかりそめの身体を捨てる。怯えを乗り越えて、バラへの愛と責任のために死ぬことを選択して、星に帰る。 二つの大戦を生きたテグジュベリは、はっきりと死を見据えて、自らがなすべきことを探していたのだろう。 人の持つ資質の美しさを感じると共に、割り切れない寂寥感が胸に巣くう。
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案の定、サン=テグジュペリは私にはまだ早かったようで、こちらも半ばで断念しました。 いつかは読めるようになるのだろうか(^_^;)
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郵便物についてひとこともないのが気になりますね。 定期航路を確保するのが目的じゃなくて、郵便物をより早く届けることが目的な気がするけれど。 使命はどこにあるのか。 今なら完全にパワハラ案件だなあ。 そのせいで引き返す選択肢もなくなってしまった。 これがこの後の教訓となり、データと...
郵便物についてひとこともないのが気になりますね。 定期航路を確保するのが目的じゃなくて、郵便物をより早く届けることが目的な気がするけれど。 使命はどこにあるのか。 今なら完全にパワハラ案件だなあ。 そのせいで引き返す選択肢もなくなってしまった。 これがこの後の教訓となり、データとなっていくのならまだ救われるのかもしれないけれど。
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