商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 誠文堂新光社 |
発売年月日 | 2008/12/04 |
JAN | 9784416608531 |
- 書籍
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文字の美・文字の力
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文字の美・文字の力
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商品レビュー
3.3
4件のお客様レビュー
著者はグラフィックデザイナー。その感性で、芸術性が高い文字意匠80点を紹介しています。 採り上げられているのは漢字、梵字など、アジアの文字で、欧米のアルファベットは一切ありません。 著者はアジア文字研究家でもあるそうです。 アジア文字に疎い身からすると、漢字以外は馴染みのない文...
著者はグラフィックデザイナー。その感性で、芸術性が高い文字意匠80点を紹介しています。 採り上げられているのは漢字、梵字など、アジアの文字で、欧米のアルファベットは一切ありません。 著者はアジア文字研究家でもあるそうです。 アジア文字に疎い身からすると、漢字以外は馴染みのない文字がデザインとして使われていても、なかなか文字として瞬時に認識することは難しいため、意外性や驚きはさほど感じませんでした。 説明されて(ああ、文字がこのように取り入れられているんだ)と納得するという後学的体験。 そういった意味では、欧米人のような読み方ができたようにも思います。 文字として意味を持つデザインの不思議さ、面白さ。 単なる模様ではなく、それを取り入れることで、文字が持つ意味合いも作品に含まれることとなり、呪術的な効果も高まります。 アルファベットは、単体では意味を持たないため、文字の与える力という点では効用がないのでしょう。 ランプシェードのように円すい型をした、長い線香には驚きました。何日ももちそうです。 「文字は声の乗物だ」という表現が新鮮でした。 人間の音声も写し取るものだそうです。 確かに、太く迫力のある歌舞伎文字などからは、轟のような声が聞こえてくる気がします。 文字をデザインに使っているのは、日本よりも中国で多いような気がします。 中華街に行くと、「福」「龍」「韓」などの字がよく飾られているのです。 ただ、日本文化の中に自然に取り入れられているものは、もはや当たり前すぎて気付いていないのかもしれません。 「かまわぬ」が、「鎌」(もしくは鎌の絵)に「○」「ぬ」と書かれた柄が書かれた着物は、文字というよりもモダンな柄。 また、科挙の試験を受ける志願者が来たと言われる、論語がびっしりと書き込まれて中国の肌着など。 隙間なく細かく記された呪文のような文字に、合格への執念をひしひしと感じます。 同じ感覚で「耳なし芳一」の話も紹介されていました。 彼が全身にくまなく書かれたのは、般若心経だったと知りました。 文字の力を表すストーリーとなっています。 印象的だったのは、朝鮮・李朝の「香」という文字が四面に書かれた香立て。 見たことがないデザインです。香という文字を見ることで、焚いたお香の匂いが一層増すような気がします。 また、江戸の火消のマトイは八方にらみの立体文字だと紹介されていました。 マトイは戦国時代の旗指物、馬印を源流としているそうです。 組名には「い」や「め」のほかに、「本」や「田」など左右対称の文字が選ばれ、どの方向からもすぐに読めるようにというのが理由だったとのこと。 平面に書かれるべき文字が、絵に取り込まれたり、立体的になったりすることで、不思議な効果が生まれることが、さまざまな掲載作品から見て取れました。 最後に吉祥字がまとめられており、「福禄寿」とは、どの字も全て縁起がいいと気付きました。 日本では特にラッキーアイテムとは考えられていない鹿、羊、蝙蝠の「蝠」も、中国伝来の吉祥字とされるそうです。 巻末の執筆協力欄に、松岡正剛の名があったので、はっとしました。 ただ、どの文章を担当したのかは、わかりませんでした。 はじめは単純なタイトルだと思いましたが、読んでみると、確かに、自分だけの力ではなしえないほどの「文字の美・文字の力」を深く感じられる本となっています。
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P122−3、雄渾な浮き文字が飾られた能登キリコ祭の山車が登場する。 そもそもは切子灯籠に由来するという、あくまでシンプルなデザインながら、奥能登の町々を駆け巡る壮麗な山車の群は、一宵の夢幻を現出する。
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目に鮮やかな真紅の図像に伸びやかな墨痕が重なる。本を撓めれば小口に列ぶ原色のパレード、開けば立ち上る濃密なインクの香り。杉浦康平による、杉浦康平の本。文字に宿る霊魂を日々の暮らしにつなぎ止めようとする古くからの様々な現れを、興味深い図版とともに紹介している。三点リード(…)の用い...
目に鮮やかな真紅の図像に伸びやかな墨痕が重なる。本を撓めれば小口に列ぶ原色のパレード、開けば立ち上る濃密なインクの香り。杉浦康平による、杉浦康平の本。文字に宿る霊魂を日々の暮らしにつなぎ止めようとする古くからの様々な現れを、興味深い図版とともに紹介している。三点リード(…)の用い方に独特の癖がある著者の薫り高い文章をなぞるように読み返し、図版に魅入る。漢字文化の奥深さ、その文化圏の中で暮らす恵みにひととき思いを馳せる。
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