商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | SDP |
発売年月日 | 2008/11/17 |
JAN | 9784903620374 |
- 書籍
- 文庫
聖家族
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聖家族
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商品レビュー
3.3
3件のお客様レビュー
堀辰雄が、1930年に発表した"聖家族"と1933年に発表した"美しい村"を収録。堀辰雄の作品は自伝的要素が強すぎる気もするので、非常に美しい描写、細かい心理描写で多くの人に読んで欲しいのだけど、受け付けない人も多いだろうなと思います。&q...
堀辰雄が、1930年に発表した"聖家族"と1933年に発表した"美しい村"を収録。堀辰雄の作品は自伝的要素が強すぎる気もするので、非常に美しい描写、細かい心理描写で多くの人に読んで欲しいのだけど、受け付けない人も多いだろうなと思います。"聖家族"は、芥川龍之介の死が契機となって描かれた作品で、作者自身がどうやって乗り越えていこうか模索しながら書かれたのではないでしょうか。"美しい村"は、堀辰雄作品の王道です。軽井沢を舞台に、主人公の思ったことや感じたことが描かれます。
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芥川龍之介の無責任な死がおよぼした波紋はいかなるものであったか 残された人々の悲しみを目の当たりにした堀辰雄は 彼自身、虚弱な身体の持ち主だったこともあろう 人をまともに愛することができなくなってしまった しかし、自暴自棄の放浪の果てに彼が見出したのはひとつの真理である すなわち...
芥川龍之介の無責任な死がおよぼした波紋はいかなるものであったか 残された人々の悲しみを目の当たりにした堀辰雄は 彼自身、虚弱な身体の持ち主だったこともあろう 人をまともに愛することができなくなってしまった しかし、自暴自棄の放浪の果てに彼が見出したのはひとつの真理である すなわち、誰にとっても死は凡庸なものであり 人の行き着く先はすべて、波打ち際を漂う「ゴミ」のようなところであると だからせめて現在を精一杯輝いて生きなければならない 芥川には芥川の苦しみがあっただろうが それが理解できないからといって、罪悪感にとらわれる理由はないのだ 所詮、おなじ「人」なのであるから だがその発見に いかなる逆説のひそんでいるものか、この時点では 彼はまだ気づいていない 戦争の時代は目前に迫っている
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「美しい村」は、作者のことを書いているという形式的な点から言えば、広義の私小説として分類できる。 しかし、この作品の内容に即して言えば、モデル小説というほうが適切だろう。 この作品にモデルがあるとはいえ、それをありのままに書く自然主義的な作品ではない。 堀辰雄が「美しい村」において描いているものは、ある出来事や事象というよりも、雰囲気といった類のものである。 実際、彼は「美しい村ノート」において、「音楽に近いもの」を書こうとしたと述べている。 モチーフや感情を明示せずに表現しようとしたのである。 そのために彼が施した技巧――彼はあらゆる生活的なもの、たとえば生活苦といったものの描写を徹底的に排除している――は、作品に一貫されてあり、その背後に作者の並々ならぬ緊張を感じる。 なお、「美しい村」の少女とのかかわりの延長線上に「風立ちぬ」(この本には未収録)は書かれています。ただし、内容としてのつながりは無いので、別個に読むことで作品の魅力が減少するというものではありません。
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