商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 1979/08/15 |
JAN | 9784152002570 |
- 書籍
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人狼
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人狼
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長島良三氏の「解題」によりますと、ヴィアンの短篇集には『蟻』『みせかけの時間』『人狼』の三冊があり、そのうち『みせかけの時間』は後に長篇『赤い草』の一部になつたので、残る『蟻』『人狼』から11篇をチョイスしたものだといふことです。 「全集」なんだから全作収録していただきたいもの...
長島良三氏の「解題」によりますと、ヴィアンの短篇集には『蟻』『みせかけの時間』『人狼』の三冊があり、そのうち『みせかけの時間』は後に長篇『赤い草』の一部になつたので、残る『蟻』『人狼』から11篇をチョイスしたものだといふことです。 「全集」なんだから全作収録していただきたいものであります。もつとも「全集」とは名ばかりで、抄録となつてゐるものが矢鱈多いのですが。新潮社の福田恆存訳の沙翁全集なんかはひどいですな。全作の半数ほどしかないのに「全集」とは。 さういへば演歌歌手のアルバムには、「全曲集」と銘打つものが多い。その歌手の全曲が収録されてゐる訳ではなく、どうやら「ベスト盤」のことらしいですが、紛らわしいのであります。関係ない話ですが。 さて、短篇集『人狼』のトップを飾るのは「蟻」。戦争物であります。ヴィアンには珍しく、徹底した反戦思想が読み取れるのです。最後は、地雷を踏んでしまつた「ぼく」に蟻(しびれ)がやつてくる場面で終ります。 続いて「のぞき魔」。確かにジャンには落度はあつたが、三人の女たちの残酷な仕打ちときたら......でもヴィアンらしいや。 「クラシックは危険」では、フローランス(と思つてゐた女)が発する最後のせりふに戦慄するのでした。 「ホノストロフへの旅」。三人の男女と同じ列車に乗り合せたサテュルヌなる男。彼は何を話しかけられても一切口をきかぬため、三人からあらゆる攻めを受ける。短篇ながら、ヴィアン世界が爆発してゐます。 「良い生徒たち」もブラックユウモワに満ち満ちてゐます。ふたりの警官(良い生徒たち)が、自らの職業を高める為に、殺人が必要だつたり、女どもにリンチをしたり。どこが良い生徒ですか。 総タイトルとなつた「人狼」のドニは、人間の服を着て通俗的な人物と絡む。狼に戻つたときに人間らしくなる。皮肉と風刺が効いた一篇。 「恋は盲目」もまたブラックな笑ひを提供してくれます。深い深い霧が町を覆ひます。全く視界がないため、みな裸になつてしまふ。いざ、霧が晴れた時には大騒ぎになると思はれましたが、全く変化がなかつたのです。その理由は...... かうしてみると、イヤ実に充実した一冊と申せませう。ヴィアン世界の見本帖といふか。入手が簡単なのか難しいのか分かりませんが、興味が湧いてきたら読んでみて卓袱台。デハデハ。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-799.html
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サリンジャーよりもさらにダークでミステリアスでシニカルでクール?みたいな。 ボリスヴィアンの短編集です。 文学的なことは語れないけど、印象的な作品であることは確かだ。
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