八一三号車室にて 論創海外ミステリ80

アーサーポージス【著】, 森英俊【編】

• 販売会社／発売会社: 論創社
• 発売年月日: 2008/09/27
• JAN: 9784846007881

商品レビュー

2013/06/16

短編集。
第一部は「ミステリ編」で、捻りのきいたオチや運命の皮肉が冴える倒叙形式、サスペンス系の話。第二部は本格系のストーリーがメインの「パズラー編」、各１３話ずつ収録されている。
今読むとさすがにオチの見当がついてしまう話も多いが、全体としてトリックやストーリー展開のキレがよく面白かった。
しかし続けて読むと、一つ一つが短くほとんど骨格だけという作りであること、パズラー編は特に探偵のキャラがどれも同じように見えてしまうことなどが少々気になった。ポージスの作品をまとめて短編集として出版してくれた論創社には感謝だが、読むのは一日一つずつくらいの方がよかったかも。
ベストは車に呪われた男の話「フォードの呪い」。

2009/01/13

『銀行の夜』
自分の銀行の金を横領したページ・ハンプトン。アリバイを作り銀行を爆破し預金された５０万ドルを奪う。金を隠した海岸近くの発電所に起きた事故と事件の関連。

『跳弾』
遺産相続のために狩りの途中の跳弾の事故に見せかけ叔父を殺害しようとしたルーファス・リンク。跳弾の実験を繰り返し事件の目撃者を仕立て一発を発射するが・・・。

『完璧な妻』
殺人鬼の夫。５０代の身勝手な女たちを殺害していくが・・・。ただ一度の失敗。状況証拠のみで逮捕されてしまう。裁判中に起きた新たな殺人事件。そこから変わっていく妻の態度。

『冷たい妻』
バスタブで連続殺人を犯す殺人鬼。教授会からの帰宅後バスタブで死んでいる妻を発見したというウォード教授。連続殺人犯の犯行の一部と考えられたが・・・。

『絶対音感』
誘拐された幼い天才兄妹音楽家サシャとターシャ。連絡役として解放されたサシャの絶対音感を使って犯人を追いつめる。サシャが監禁中に聞いていた音から現場を確認する。

『小さな科学者』
家に押し入り父親に危害を加えようとする男に逆襲する小さな科学者。簡易な鉄砲。

『絶望の穴』
　理由もわからず友人に穴に突き落とされた男の脱出作戦。

『犬と頭は使いよう』
　叔母の遺言により犬が生きている間だけお金が受け取れる少年。お金がいつまでも受け取れるように犬を長生きさせようとするが・・・・。

『ハツカネズミとピアニスト』
　科学者の兄、ピアニストの弟。ハツカネズミのエキスから作られた注射でピアニストの才能を開花させたが・・・。

『運命の分岐点』
　強盗に巻き込まれた男の２つの運命。

『ひとり遊び』
　恋人との初めての一夜。その朝彼女のひとり遊びは・・・。

『水たまり』
　水たまりにはまり行方不明になった少年。

『フォードの呪い』
　Ｔ型フォードを憎む男。インタビュー中に彼の頭上に落下してきたものは・・・・。

『八一三号車室にて』
　あるパーティーで盗まれた宝石。年老いた猫の秘密。八一三号車室で語られる真実。セルニーヌ侯爵の推理。

『誕生日の殺人』
　誕生日直前に殺害されると言う連続殺人がおきた村。ジェーン・オースティンと事件の関連は？

『平和を愛する放火魔』
　工場の放火事件を捜査するブラック巡査部長。部長に助言するミドルビー教授。戦争中に実験されたコウモリ爆弾の謎。

『ひ弱な巨人』
　コンクリートの塊で撲殺された婦人。容疑者である甥にはコンクリートの塊を持ち上げることは不可能・・・。コンクリートと木箱の謎。