ただいま、女優修業中！ 夢をつかんだ少女

上條さなえ【作】, 岡本順【絵】

• 販売会社／発売会社: 汐文社
• 発売年月日: 2008/08/15
• JAN: 9784811384955

商品レビュー

2019/10/29

シンデレラストーリー然としたお話では
ないけれど普通の女の子が劇団に入って
レッスンと学校生活を両立させる。
幾度のオーディション落選にたえながら
合格をつかむお話ですね。

本のカバーから引用です。

　わたし、彩花。
　テレビや舞台で演じる子役に
　なることが 私の夢。
　でも、パパに「芸能界なんて!」
　って反対されちゃって…

かつてはティーンだった私（当然か）でも
これから始まるお話にワクワクするような
煽り文句ですよ。
カバーも主人公彩花（さやか）ちゃんの
レッスン姿ですし
きっと、こりゃ、女優さんの卵として
活躍する話か、もしくは苦労の甲斐あって
感動的な合格で締めになる話だ
そのように勝手に想像をめぐらしました。
私の勝手や予想は
半分あたりで半分はずれでした。

☆

そもそも論なんですが
こちらはフィクションなのでしょうか。
ノンフィクションなのでしょうか。
作品によっては現実と虚構の
きわどいところを縫っていくような展開
を持つものもありますね。
私はそういうのは好きなのですが
この作品だとどちらかにはっきりと
軸足を載せたほうがいいと思います。

ノンフィクションであれば
いい話だったと思います。
あわせて氏の「10歳の放浪記」は必読です。
両方読まないと魅力が大幅減でしょうね。
ー他人様のレビューをいくつか読んで、そのように感じました。

出版社が売れ行きを意図して
少女マンガやアニメみたいな紹介文を
採用したのかどうかはわかりません。
ちょっと中途半端というかズレを感じます。
上條さなえさんの生き方に寄り添った
作品として編集していかないと
作家の価値が下がってしまいます。
売れた作家が一つのネタで作品を
量産化していく一環に見られかねないか
そのように危惧しました。

もしフィクション要素を強めるならば
「10歳の放浪記」とは別のモチーフで
子どもが学校外（教科外）の学校をして
女優として夢を叶える話にするとか
そのためにせめて個人名は変えるとか
いや、そもそも「10歳の放浪記」を
まったく知らなくても
ワクワクする話にするように
提案してほしかったですね。
もしこの作品がフィクションであれば
「10歳の放浪記」と作者の魅力に
ぶら下がったものに感じます。

★

私は作者を好きなので楽しく読みました。