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パール判決を問い直す 「日本無罪論」の真相 講談社現代新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2008/07/19 |
JAN | 9784062879545 |
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パール判決を問い直す
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商品レビュー
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太平洋戦争における東京裁判で連合国側判事にありながら日本の無罪を主著したインド代表のラダ・ビノード・パール判事。靖国神社に併設されている遊就館にも同博士の顕彰碑が建てられている。極東軍事裁判唯一の国際法専門家で、絶対悪とされた日本の戦争犯罪を無罪と言い切った勇気ある裁判官として、...
太平洋戦争における東京裁判で連合国側判事にありながら日本の無罪を主著したインド代表のラダ・ビノード・パール判事。靖国神社に併設されている遊就館にも同博士の顕彰碑が建てられている。極東軍事裁判唯一の国際法専門家で、絶対悪とされた日本の戦争犯罪を無罪と言い切った勇気ある裁判官として、保守派から大きく尊敬される存在だ。書籍も多く出ており、私も幾つか読んだが、その都度パールの言葉に感動した事を覚えている。だがふと、Youtubeの動画なんかを見ていて保守系の大東亜戦争肯定論者にうまく利用されているのではないかと不安に感じたことがある。実際に動画の内容は、日本の戦争は正しかったとしており、アジアの解放のために日本が欧米の植民地政策で虐げられていた国々を救ったという礼賛動画が殆どである。そうした動画は常々、ナショナリズムに染まり戦争を知らない若い世代にとっては、日本があたかも正しい行為をしたと捉えられがちな内容で作られている。当然の事ながら如何なる理由があろうとも、一般市民を巻き込んだ戦争は悪である。 本書はそうした保守系から礼賛されるパール判事の判決内容について改めて考察し、同氏が伝えたことの真実及びそう考えるに至った背景を考える内容である。筆者の中島岳志氏と評論家の西部邁氏との対談形式という形で繰り広げられる議論は、多くの対談本がダラダラとただの傍観者になりかねないのに対して、最後まで白熱していて飽きがこない。 知っての通りパール判事の判決内容は、東京裁判で裁かれた三つの罪である「平和に対する罪」「人道に対する罪」「通例の戦争犯罪に対する罪」のうち前者二つについては国際法上成立要件が当時存在しない事後法的なものであり、法実証主義・罪刑法定主義の観点から「裁く事自体が不当」としたものである。その判決書は7部構成で、文庫本1400頁にも及ぶ超大作となっているが、その一部の内容や同判事の言葉の一部をかい摘んで、保守派は日本の戦争行為正当化に利用する。 よってパール判事が伝えたかった判決が正しく世の中に伝わっていないことへの危機感、ともすれば戦争肯定に傾きかけない危険な解釈を否定する事が必要である。言わずもがなパール判事は戦争肯定派でもなく絶対的な平和主義者だ。戦後の日本の再軍備に関しても厳しく非難している。内容はこれ以上触れないが、パール判事の生まれや育ち、判事になるまでの背景をしっかり押さえた上で本当の意味で評価する必要がある。 そうした意味でこの対談は興味深く楽しめるものとなっており、これまで読んできたパール判決の書籍と比べ公平中立的な立場から再認識するにはもってこいの内容である。
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パールの呻吟、その末に出した意見書は、一般的には「日本無罪論」として右派に利用されてきた。骨子としては、「人道に対する罪」の概念はいわば「後付け」の法であって、法の支配という国際秩序を守るという法曹の立場に立つ以上、「後付け」の方で日本を裁くことは出来ないという展開となる。(結果...
パールの呻吟、その末に出した意見書は、一般的には「日本無罪論」として右派に利用されてきた。骨子としては、「人道に対する罪」の概念はいわば「後付け」の法であって、法の支配という国際秩序を守るという法曹の立場に立つ以上、「後付け」の方で日本を裁くことは出来ないという展開となる。(結果この意見書は採用されることなく葬られるのであるが) しかしながら、それはパールが日本を「完全に無罪」として見なしていたわけではない点が、往々にして見落とされがちである。彼は、日本が犯してきた戦争犯罪についてはキッチリと罪を償うべきであるという主張もしている。ここにパールの「平和主義」とも言える思想が見える。 政治的に利用されてきた彼の判決について、真相に迫った上で、「平和主義」について再考を促す良書。
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この本で主張されるとくに西部氏の難解な思想に全面的に賛成するものではないが、それでもパール判決の読み方や、小林よしのり氏の見苦しい暴論への回答として説得力があり、よく理解できた。 これでも小林氏は反論できるか!? [08.8.26]
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