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鐵道心中
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鐵道心中

岩井志麻子【著】

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鐵道心中

1,980

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 双葉社
発売年月日 2008/05/30
JAN 9784575236156

鐵道心中

¥1,980

商品レビュー

3.6

7件のお客様レビュー

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2015/05/24

大正時代、鐵道心中をした男女。女は裕福な人妻。男はお抱え運転手。女は瀕死ながらも助かり男はかすり傷のみ。男は逃げてしまうが…大正時代にあった実話がモデルらしいが、ドロドロ感が足りない。恋愛話では無いのだが…

Posted by ブクログ

2010/11/05

こんなに迫力のある文章を書く人だったのか。 そして、なんて恐ろしいストーリーなんだろう。 真っ当な人間には想像もできない影を持った美女。 彼女が見ている現実ではない世界は、 とにかく悲惨極まりなく、現実でも決して幸せではないのに、 まだましだと思ってしまうのだから恐すぎる。 ...

こんなに迫力のある文章を書く人だったのか。 そして、なんて恐ろしいストーリーなんだろう。 真っ当な人間には想像もできない影を持った美女。 彼女が見ている現実ではない世界は、 とにかく悲惨極まりなく、現実でも決して幸せではないのに、 まだましだと思ってしまうのだから恐すぎる。 凄い筆力だと思った。ここまで書ける人はそういないと思う。 ホラーな内容故に読者を選ぶだろうことが残念なくらい。

Posted by ブクログ

2010/09/29

これまで読んできた彼女の作品のなかでは、もっとも文章が耽美的だったと思う。 ★ネタバレを含むことになるので、読まれていない方はご遠慮ください★ 美しい淑女である露子夫人。 作者は、この美しい婦人と若くハンサムな運転手との心中事件に対する、世間の秘めた妄想を記述するところ...

これまで読んできた彼女の作品のなかでは、もっとも文章が耽美的だったと思う。 ★ネタバレを含むことになるので、読まれていない方はご遠慮ください★ 美しい淑女である露子夫人。 作者は、この美しい婦人と若くハンサムな運転手との心中事件に対する、世間の秘めた妄想を記述するところから物語を始める。 世間は、一途な恋だの、許されぬ恋だのということに、その美しい婦人にか、あるいは若い運転手にか、自らを重ねて妄想に浸ったのだ。 その切ない恋心であれ、あるいは秘められた淫靡な関係を想像してであれ、その物語は、世間の想像を掻き立て、流行歌ができるほどに世間を魅了し、刺激した。 噂を聴いた人だけではない。 もとの夫も事件を追う新聞記者も、露子夫人の現世の妖艶さにとことん魅かれている。 一方で、嫁ぎ先の家も実家も、世間体を恐れ、縁を切ってしまう。 作者の物語の巧さはここにある。 なんと透き通った眼差しをもった方なのであろう。 世間といい、親といい、男といい。 作者が描いたものは、くだらないつまらないことに拘って、本質を見出すことのない無明の人々の姿だ。 カフェに出入りし、艶めかしく密やかに人の口にのぼるような露子夫人が、だが、しかし、本当に見ていたものは、そんなくだらない現世の欲望や妄想ではなかった。 幾つも重なって現れ、過去にも未来にも、また現在にも点在し続ける「自分」の姿であり、「輪廻転生」の本質だった。 本を返してしまったので、文章は正確ではないが 「死んで無になるのならよいのです。死んだあと、転生を繰り返すことの方が怖い」 そんなことが書かれてあった。 私もまた、そう思う。 輪廻転生を信じる信じないではなく。 「死の何が怖いって、死んで自分が消えてなくなるということが怖い」という人をときどき見かける。 だけど、死んでなお、自分の意識が残るなんてことがあるとしたら、その方がよほど恐ろしいではないか。 この作品を表面だけで読めば、夢見のように垣間見える転生した映像がホラーと受け取れるだろう。ホラー作品として物語を構成する上で、作者もそれを意図してはいると思う。 だが、作者はもう一つ、もっと深いところでゾッとさせてくれている。 それは露子夫人の、世間の妄想とはかけ離れた、遥かな視線だ。 露子夫人は、恵まれて生まれたにもかかわらず、露子として生まれる以前の過去から、ツインソウルともいうべき現世の女性や、別の少女として生まれ変わる未来まで、この世を離れた遥かな位置から、人の命のありようを見渡していた。 心中事件以後の能力として描かれるけれど、そもそも心中のきっかけは、この残酷なまでに懲罰的な来世の予感なのだ。 そしてその、人がうらやむような恵まれた現世をつまらなくくだらないものと感じたのだ。うらやむことすら、無意味な羨望に感じられたに違いない。 ほしければくれてやる、どうせ、ツケは払わねばならないのだからと。 何も輪廻転生を鵜呑みにするわけではないが。 日本という恵まれた国に生まれ、雨風をしのぐ屋根の下に、食べ物にも着る物にも不自由せずに生きている自分自身の、もしかしたらありうるかもしれない恐ろしく過酷な未来を。 つい、私たちは予感して、ゾッとするのだ。

Posted by ブクログ

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