商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 1978/10/23 |
JAN | 9784121005182 |
- 書籍
- 新書
刑吏の社会史
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刑吏の社会史
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商品レビュー
3.7
14件のお客様レビュー
そもそもの処刑ってなに〜?って話とその立ち位置の変換について、時代を追いながら説明されていて、処刑について知識を集めるための土台として良い内容だった〜♪中世欧州の社会観を理解するのに処刑とそれを催する刑吏の扱われ方を書くのは新鮮なようで実際的確な切り口だった。文体もあっさりしてい...
そもそもの処刑ってなに〜?って話とその立ち位置の変換について、時代を追いながら説明されていて、処刑について知識を集めるための土台として良い内容だった〜♪中世欧州の社会観を理解するのに処刑とそれを催する刑吏の扱われ方を書くのは新鮮なようで実際的確な切り口だった。文体もあっさりしていて読みやすい。
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中世ヨーロッパにおいて賤民の立場に置かれた刑吏に焦点を当て、彼らがなぜ賤民として扱われたのかを、当時の時代背景と刑法の変化から解き明かそうとした本。最終的に刑吏がなぜ人々に恐れられ、賤民扱いされたのかという点については、周辺状況からの妥当性を感じさせる推測として解答が提示されてい...
中世ヨーロッパにおいて賤民の立場に置かれた刑吏に焦点を当て、彼らがなぜ賤民として扱われたのかを、当時の時代背景と刑法の変化から解き明かそうとした本。最終的に刑吏がなぜ人々に恐れられ、賤民扱いされたのかという点については、周辺状況からの妥当性を感じさせる推測として解答が提示されている。しかし、それよりもむすびの部分で指摘されている犯罪は社会的なものであるという一連の内容が非常に鋭く、現代にも通じる問題提起であると思われた。
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かつて社会にとって最も神聖な儀式であった「処刑」は、十二、三世紀を境にして、〝名誉をもたない〟刑吏の仕事に変っていった。職業としての刑吏が出現し、彼らは民衆から蔑視され、日常生活においても厳しい差別をうけた。都市の成立とツンフトの結成、それにともなう新しい人間関係の展開、その中で...
かつて社会にとって最も神聖な儀式であった「処刑」は、十二、三世紀を境にして、〝名誉をもたない〟刑吏の仕事に変っていった。職業としての刑吏が出現し、彼らは民衆から蔑視され、日常生活においても厳しい差別をうけた。都市の成立とツンフトの結成、それにともなう新しい人間関係の展開、その中で刑罰観はどう変化していったか。刑罰観の変遷と刑吏差別の根源を追究する中で、庶民生活の実態を明らかにし、民衆意識の深層に迫る。 中世ヨーロッパというよりは、フランク王国、ドイツの諸都市の社会についてがメインで述べられている。もちろんフランスやイギリスの処刑人についても書かれているが、ツンフトだとかギルド、ラント平和令などのタームはしばらく世界史から離れていた人間には最初ちょっと理解に時間がかかった。 刑吏というのは、刑罰がなければ存在しない。刑罰は、犯罪がなければ存在しない。犯罪は、犯罪者が起こすもの。したがって、法制史的な面も述べられていて、大変興味深かった。 12,3世紀にキリスト教が入り込み、都市が形成されるまで、殺人や強盗など明確な加害者と被害者があり、血族による復讐が認められていた時、処刑人は不要だった。被害者自身が復讐するから。その他の犯罪については、「地域社会の安全を脅かすもの」「平和・秩序を乱すもの」として、「罪を祭祀によって洗い流し」「秩序を取り戻す」ための儀式的としての性格として処罰が行われており、犯人を殺す、死刑にするというよりは、死ぬも死なぬもその時の運、偶然刑としての性格が強い処罰が行われていた。これは日本史でも古代には行われていたようなもので、人類の歴史として自然な流れだったのかなと思った。 社会が発展し、支配階級がよりはっきりと現れてくる中で、支配者がより支配を強くするために法を整備し、犯罪を定義し、刑罰を作るというのは本当に興味深いなと思う。 穢れを浄化するための刑罰だったはずが、気づけば「自分たちの仲間のうちの罪人」を殺すものに変化していったことに対し、一般民衆、いわゆる名誉ある市民がその刑罰を実行する刑吏を避けるようになるのは、感覚として理解できない事ではない。 その蔑視されていた刑吏を、軍隊の強化が急務となった時代に「賤民」から「名誉ある市民」に掬い上げ、そのまま軍隊へ入れてしまったという時代の流れもまた、現代社会においてよく見る構図であり、社会史から学ぶことは多いと感じた。 罪が社会のものから個人のものとなり、社会問題上の事情から起きた犯罪についても、その問題については目をつむり、個人の問題として断罪するのもまた現在の問題であると思った。 「罪を憎んで人を憎まず」とはいうけれど、その罪に至る状況へ目を向け、解決を図る社会になっていきたいものだと思う。
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