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刑吏の社会史
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刑吏の社会史

阿部謹也(著者)

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刑吏の社会史

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 1978/10/23
JAN 9784121005182

刑吏の社会史

¥836

商品レビュー

3.7

13件のお客様レビュー

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2021/12/11

中世ヨーロッパにおいて賤民の立場に置かれた刑吏に焦点を当て、彼らがなぜ賤民として扱われたのかを、当時の時代背景と刑法の変化から解き明かそうとした本。最終的に刑吏がなぜ人々に恐れられ、賤民扱いされたのかという点については、周辺状況からの妥当性を感じさせる推測として解答が提示されてい...

中世ヨーロッパにおいて賤民の立場に置かれた刑吏に焦点を当て、彼らがなぜ賤民として扱われたのかを、当時の時代背景と刑法の変化から解き明かそうとした本。最終的に刑吏がなぜ人々に恐れられ、賤民扱いされたのかという点については、周辺状況からの妥当性を感じさせる推測として解答が提示されている。しかし、それよりもむすびの部分で指摘されている犯罪は社会的なものであるという一連の内容が非常に鋭く、現代にも通じる問題提起であると思われた。

Posted by ブクログ

2021/04/08

かつて社会にとって最も神聖な儀式であった「処刑」は、十二、三世紀を境にして、〝名誉をもたない〟刑吏の仕事に変っていった。職業としての刑吏が出現し、彼らは民衆から蔑視され、日常生活においても厳しい差別をうけた。都市の成立とツンフトの結成、それにともなう新しい人間関係の展開、その中で...

かつて社会にとって最も神聖な儀式であった「処刑」は、十二、三世紀を境にして、〝名誉をもたない〟刑吏の仕事に変っていった。職業としての刑吏が出現し、彼らは民衆から蔑視され、日常生活においても厳しい差別をうけた。都市の成立とツンフトの結成、それにともなう新しい人間関係の展開、その中で刑罰観はどう変化していったか。刑罰観の変遷と刑吏差別の根源を追究する中で、庶民生活の実態を明らかにし、民衆意識の深層に迫る。 中世ヨーロッパというよりは、フランク王国、ドイツの諸都市の社会についてがメインで述べられている。もちろんフランスやイギリスの処刑人についても書かれているが、ツンフトだとかギルド、ラント平和令などのタームはしばらく世界史から離れていた人間には最初ちょっと理解に時間がかかった。 刑吏というのは、刑罰がなければ存在しない。刑罰は、犯罪がなければ存在しない。犯罪は、犯罪者が起こすもの。したがって、法制史的な面も述べられていて、大変興味深かった。 12,3世紀にキリスト教が入り込み、都市が形成されるまで、殺人や強盗など明確な加害者と被害者があり、血族による復讐が認められていた時、処刑人は不要だった。被害者自身が復讐するから。その他の犯罪については、「地域社会の安全を脅かすもの」「平和・秩序を乱すもの」として、「罪を祭祀によって洗い流し」「秩序を取り戻す」ための儀式的としての性格として処罰が行われており、犯人を殺す、死刑にするというよりは、死ぬも死なぬもその時の運、偶然刑としての性格が強い処罰が行われていた。これは日本史でも古代には行われていたようなもので、人類の歴史として自然な流れだったのかなと思った。 社会が発展し、支配階級がよりはっきりと現れてくる中で、支配者がより支配を強くするために法を整備し、犯罪を定義し、刑罰を作るというのは本当に興味深いなと思う。 穢れを浄化するための刑罰だったはずが、気づけば「自分たちの仲間のうちの罪人」を殺すものに変化していったことに対し、一般民衆、いわゆる名誉ある市民がその刑罰を実行する刑吏を避けるようになるのは、感覚として理解できない事ではない。 その蔑視されていた刑吏を、軍隊の強化が急務となった時代に「賤民」から「名誉ある市民」に掬い上げ、そのまま軍隊へ入れてしまったという時代の流れもまた、現代社会においてよく見る構図であり、社会史から学ぶことは多いと感じた。   罪が社会のものから個人のものとなり、社会問題上の事情から起きた犯罪についても、その問題については目をつむり、個人の問題として断罪するのもまた現在の問題であると思った。 「罪を憎んで人を憎まず」とはいうけれど、その罪に至る状況へ目を向け、解決を図る社会になっていきたいものだと思う。

Posted by ブクログ

2017/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ネタバレ 1978年刊行。◆ドイツ中世期において、刑の執行(特に、磔刑等の執行)に従事した刑吏職は、その前期と後期では、彼等への社会的目線、すなわち賤民性の度合いが全く異なった。◇この刑吏職の実態と賤民性拡大に関し、刑罰(特に死刑)の種類、その社会的意味や目的、キリスト教の社会的普及と呪術性減退との関係性、ドイツの社会構成体の史的変遷、刑事法の目的の変容と絡めて解説する。◆その内実分析は、ドイツの学説を駆使しつつ明瞭に説明する。◆しかし、著者の結論には些かの疑問もないではない。◇刑執行という権力行使への民衆の怨嗟。 これが刑吏への卑賤観を亢進させたと著者は看做している。◇しかし、権力行使の源泉にない末端権力への非難にすぎず、直ちにそれが首肯できるか。◆ただの駒に過ぎない彼らに対する怨嗟というであれば、もう少し、刑吏の権力行使の恣意性、かつ上層機構とは無関係な独断性の説明にもっと紙数を費やすべきではないか、との感。◇むしろ「死」との直接的な関わりを持つ者に対する忌避感、恐怖感が卑賤観の淵源にあると正面から認めた方が、座りが良い印象がある。◆ところで、本書意外には、西欧・賤民のキーワードでなかなか類書が見つからない。 したがって、確かに古い本だが、新書サイズとして貴重な一書かもしれない。◆なお、本筋ではないかもしれないが、科罰法(科刑法ではない)の史的変遷はその目的論を含め興味を引く。罪刑法定主義の誕生経緯とも絡み、勉強したくなった領域。◆著者は一橋大学教授。

Posted by ブクログ

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