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不安な兵士たち ニッポン自衛隊研究
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 原書房 |
発売年月日 | 2008/03/26 |
JAN | 9784562041404 |
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不安な兵士たち
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商品レビュー
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本書はジェンダー論研究者の自衛隊研究を基にしたもので、自衛隊及びその隊員のアイデンティティに関して書かれた本です。 #ちなみに著者は東大と京大に籍を置いた事のある研究者で、日本語は達者です。 戦後、国民の間に強烈な反軍感情が存在する中、設立された自衛隊。 ここ最近は、阪神大震...
本書はジェンダー論研究者の自衛隊研究を基にしたもので、自衛隊及びその隊員のアイデンティティに関して書かれた本です。 #ちなみに著者は東大と京大に籍を置いた事のある研究者で、日本語は達者です。 戦後、国民の間に強烈な反軍感情が存在する中、設立された自衛隊。 ここ最近は、阪神大震災をはじめとする大規模災害時の救助活動、中国の軍備増強等により自衛隊に対する国民感情にも大きな変化が表れて来ています。 しかし、その発足当初から違憲性が強く問われ続けて来た彼らは、国民に対して自らの存在を弁明する必要を強く感じてきました。 。 本書では、この厳しい環境が自衛隊及びその隊員に与えた影響が解説されており、 例えば、隊員がアイデンティティの拠り所を求めて「皇軍兵士」「サラリーマン」「米軍兵士」の3者の間を不安定に行き来し、「男らしさ」の確立、戦闘集団としての自衛隊と人命救助組織としての自衛隊の矛盾等に苦悩している事や また、女性隊員に関しては、ジェンダーの壁が立ちはだかり、「男らしさ」を追及している組織で苦悩する姿等が紹介されています。 この他、自衛隊では各基地に史料館を設置し、そこで基地とその周辺地域との関係性、更には自衛隊独自の史観の展示を行い、それらを通して隊員のアイデンティティを確立しようとしている様子も解説されています。 尚、本書によれば、自衛隊は米軍を世界標準と見なし、「米軍に認められる事=世界に通用する」と考えているのですが、実はアメリカ軍は標準的な軍隊では無く、戦闘集団としての性格が色濃く出ているかなり特殊な軍隊との事です。 そしてヨーロッパ(特にドイツ)を例にとり、現実には、軍隊の性格は純粋な戦闘集団から災害救助の任務も背負った存在へと変わりつつあり、その意味において自衛隊の姿は未来の軍隊の姿であるとしています。 しかし、現在の日本において、政治家の中には現在の自衛隊のあり様に否定的な者も居り、自衛隊員のアイデンティティを戦闘員のそれに置き換えようとする動きもあるそうですが、 この動きは、「自衛隊はアイデンティティ確立の模索を重ねた結果、発足から60年以上の時が流れた今では、独自の史観すら構築している」点を考慮すると、上手く行かないかも知れないとの事です。 本書の基となった研究は、防衛省がまだ防衛庁と呼ばれている時に行われました。 現在、自衛隊海兵隊構想等、アメリカ軍をお手本とした自衛隊の軍事組織化が着実に進行しています。 上記の通り、著者は60年間と言う長期間が自衛隊及びその隊員のアイデンティティに与えた影響の強さを重視ししていますが、昨今の状況は著者のこの考えに反している様にも見えます。 最も、海兵隊構想のコアとなる部隊は自衛隊でも特別に戦闘的との事で、この構想を持って全自衛隊及びその隊員のアイデンティティが軍事組織のそれに変貌して行っているとは言えないのかも知れません。 この点、今後の自衛隊の変化に関心が抱かれる所です。
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オーストリア人の女性社会学者が日本の自衛隊を参与観察して軍隊組織におけるジェンダーや日本の過去の歴史と現在の軍事化に関する隊員・幹部らの認識を分析したもの。国防のあり方について暑く議論したいという人には全然おすすめしないが、軍隊とジェンダーに関心がある人にとっては、たいへん面白く...
オーストリア人の女性社会学者が日本の自衛隊を参与観察して軍隊組織におけるジェンダーや日本の過去の歴史と現在の軍事化に関する隊員・幹部らの認識を分析したもの。国防のあり方について暑く議論したいという人には全然おすすめしないが、軍隊とジェンダーに関心がある人にとっては、たいへん面白くて質の高い研究書。
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