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利根川と淀川 中公新書
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利根川と淀川 中公新書

小出博(著者)

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利根川と淀川 中公新書

726

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 1975/01/25
JAN 9784121003843

利根川と淀川

¥726

商品レビュー

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2019/11/10

非常に面白かった! 河川(整備)の歴史なのに、明治時代にさえ入ることなく、むしろ江戸時代よりも前、例えば地形・地質といった原始的条件に始まり、縄文~弥生、古墳時代とかにさえ半分も紙幅を割くとは! しかし古墳の位置から、地域ごとの開発度合いを読み解き、それを河川や地形との関係から解...

非常に面白かった! 河川(整備)の歴史なのに、明治時代にさえ入ることなく、むしろ江戸時代よりも前、例えば地形・地質といった原始的条件に始まり、縄文~弥生、古墳時代とかにさえ半分も紙幅を割くとは! しかし古墳の位置から、地域ごとの開発度合いを読み解き、それを河川や地形との関係から解釈するのは、斬新で面白かったなぁ。 むろん、その後の江戸時代のことについても、ひとつひとつ謎解きのようでもあり面白い。 そして、こういうことを、考えてみたいなぁとも思った。 === ◆東北日本/西南日本の、河道・流域地形特性とそれに起因する開発のされ方の違い ・西南日本においては、縄文海進の影響をうけない洪積台地の分布と規模は、東北日本と比較人ならないほど小さかった。西南日本の中で木曽川は確かにも珍しく大きな扇状地が広い陸地があり、そして犬山から少し上には縄文・弥生の遺跡が分布するとか、木津用水沿いには多くの古墳があるとか。(p.12) ・一方で東北日本には、北上川などのように盆地を連続して貫く川が多く、それゆえにその後の時代に、用排水や発電に不利であったとか。灌漑面積比とかいった指標も面白い。(p.32,35) ・東北/西南にかぎらず、例えば奈良・河内・和泉と京都の違いも興味深い。前者では小河川が多く、またマサ地質が多いので低水もコンスタントで、ため池を作りやすく扇状地もあったので開発がしやすかった。一方で後者では流れているのが大河川で、開発しにくかった(水稲農業の創成期には不利だった)という指摘も面白い。(p.44-47) ◆利根川 ・埼玉平野は縄文海退のあと湖沼を皿のような凹地にのこしたので、排水路が大事という指摘。(p.63) →首都圏外郭放水路なくしては、土地開発ができないというのも納得できるし、美濃でいう「輪中」のようなコミュニティが「領」として残されているのにもつながるのかも。(p.81) ・利根川の東遷や狭窄部・中条堤のことなど、詳細に時代背景や周辺事情から目的を解き明かしていく様子も刺激的。最終的には足尾銅山対策が東遷目的だったのかなぁ。(p.144,151,154) ◆淀川 ・源流たる琵琶湖から流下する「瀬田川」に関して言うと、琵琶湖流末のあたりに土砂がたまる場所があって、そこを(「供御瀬」という渡る場になるという理由で)なかなか幕府にも浚渫してもらえなかたということ。交通の要所なので、壬申の乱や源義朝にとっても重要な地だったという。(p.188) ・河村瑞賢にしても舟運のことを主眼においており、水害防止にはせいぜい「結果的に」貢献したとのこととか、明治政府も同じく新田開発による収入欲しさであったという指摘も面白かった。(p.204-205,210) →思えば同様に木曽川においても、明治初期までの河川改修(三川分離とか)は、メインは舟運の確保、つまり低水管理だったのかもしれない?!とかとも思った。 →ならば今や、分流じゃなくてもよいのかも?とか思ったり。。 ◆その他、印象に残ったこと等 ・中世に見るべき工事はないとされていること(p.193)と、明治も前期までは基本的に江戸時代の延長だったとしてほとんど言及されていないこと(p.214)。 ・木曽三川との比較(物差し)としても勉強になるかと期待していたところ、意外にも木曽三川自体についての言及もちょこちょこ見られて面白かった。尾張地方では条里制が鎌倉時代の海岸線(伊勢湾台風の高潮のときこれがほぼ再現された)までひろがっていたとか(p.71)。1584年に大阪城築造と城下町設営のための木曽材の大量搬出に先駆け木曽川の改修を行ったとされ、のちに家康も江戸城や名古屋城、城下町設営のために同じく木曽川改修して木材搬出に備えたという(ただし工事内容はいずれも明らかでない、p.104)。 ・最後、戦後のダム建設の地域性についても言及されている。西南異本の中部地方と外帯の一部は発電ダム地帯で、その他の地方は全体として多目的ダム地帯だとしている。その理由の解決されず、宿題とされている。(p.219) →このあたりは、全国の河川をまわった知花先生に、尋ねてみようか。。

Posted by ブクログ

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