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時の終わりへ メシアン・カルテットの物語 叢書・20世紀の芸術と文学
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時の終わりへ メシアン・カルテットの物語 叢書・20世紀の芸術と文学

レベッカリシン【著】, 藤田優里子【訳】

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時の終わりへ メシアン・カルテットの物語 叢書・20世紀の芸術と文学

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 アルファベータ
発売年月日 2008/02/29
JAN 9784871985536

時の終わりへ

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商品レビュー

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2022/03/12

昨年プラハ聴いた印象的なコンサート、そして突然出会った一冊の書籍、これらが今回の旅の行き先であるドイツのゲルリッツ(Görlitz)とポーランドのズゴジェレツ(Zgorzelec)を決定的にした。 コンサートの演目はメシアンの『世の終わりのための四重奏曲(時の終わりのための四重奏...

昨年プラハ聴いた印象的なコンサート、そして突然出会った一冊の書籍、これらが今回の旅の行き先であるドイツのゲルリッツ(Görlitz)とポーランドのズゴジェレツ(Zgorzelec)を決定的にした。 コンサートの演目はメシアンの『世の終わりのための四重奏曲(時の終わりのための四重奏曲)』、その後に出会った書籍は『時の終わりへ メシアンカルテットの物語』。 フランスの作曲家メシアンは第二次世界大戦中にドイツ軍の捕虜となり、収容所生活を強いられる。酷寒の地と食糧不足に悩まされた収容所生活の中でメシアンを後に名曲として最大限の賛辞を送られる四重奏を作曲し、収容所内の困難な状況下で初演まで行なう。 そのメシアンがかつて収容されていた捕虜収容所 Stalag VIII-A を訪れる為に、ポーランドとドイツの国境の町に向かった。 ● プラハでのコンサート、古書店で出会った書籍 ● プラハで生の演奏に触れたメシアン『世の終わりのための四重奏』 ● 『メシアンの芸術』というシリーズの一枚、『世の終わりのための四重奏』のライナー ● 古書店で出会った『時の終わりへ メシアンカルテットの物語』 ● ゲルリッツの収容所の様子とメシアン ● 『世の終りのための四重奏曲』の初演 ● 『世の終りのための四重奏曲』の後日談 ● メシアンを巡る旅 詳細はコチラ↓ メシアン 世の終わりのための四重奏曲の作曲、初演された場所 ゲルリッツの捕虜収容所と捕囚の元で作曲された奇跡の音楽 / 『時の終わりへ メシアンカルテットの物語』レベッカ・リシン 著を読み、メシアンの足跡を辿る https://jtaniguchi.com/%e3%83%a1%e3%82%b7%e3%82%a2%e3%83%b3-%e4%b8%96%e3%81%ae%e7%b5%82%e3%82%8f%e3%82%8a%e3%81%ae%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ae%e5%9b%9b%e9%87%8d%e5%a5%8f%e6%9b%b2%e3%81%ae%e5%88%9d%e6%bc%94/

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2018/10/25

 黙示録とバッハから現代音楽までのミニスコアをつねに持ち歩いていた若きメシアン、音に色を感じることのできた若きメシアン、鳥のさえずりを微妙なところまで聴き分けられた若きメシアン‥‥  茫洋としていて理解を拒絶するかのようなオリヴィエ・メシアンであるが、零下十数度という厳寒のシュレ...

 黙示録とバッハから現代音楽までのミニスコアをつねに持ち歩いていた若きメシアン、音に色を感じることのできた若きメシアン、鳥のさえずりを微妙なところまで聴き分けられた若きメシアン‥‥  茫洋としていて理解を拒絶するかのようなオリヴィエ・メシアンであるが、零下十数度という厳寒のシュレージエンの捕虜収容所で初演が行なわれた『時の終わりへの四重奏曲』の成立プロセスを追いかけていく本書からは、メシアンの原像が浮かび上がってくるように思う。

Posted by ブクログ

2016/02/05

 学生時代、メシアンの《時の終わりのための四重奏曲》の〈間奏曲〉の旋律を口三味線で歌えるのが自慢だった。酔っぱらってメシアンを歌う大学生。バカである。  《時の終わりのための四重奏曲》はレコード業界では従来から《世の終わりのための四重奏曲》と訳されて、それで人口に膾炙しているが、...

 学生時代、メシアンの《時の終わりのための四重奏曲》の〈間奏曲〉の旋律を口三味線で歌えるのが自慢だった。酔っぱらってメシアンを歌う大学生。バカである。  《時の終わりのための四重奏曲》はレコード業界では従来から《世の終わりのための四重奏曲》と訳されて、それで人口に膾炙しているが、このタイトルは聖書の黙示録からとられており、時が終わって永遠が訪れるという一節からとられているから、「時の終わり」でなければならないのだ。本書の訳者は《時の終わりへの四重奏曲》と訳しているが。  さてこの四重奏曲はメシアンの作品中で《トゥーランガリーラ交響曲》とともに有名なものだが、格別、その作曲状況で有名なのである。つまり、第二次大戦中、ドイツ軍の捕虜収容所で、クラリネット、ヴァイオリン、チェロの各奏者と出会い、そこにメシアンのピアノを加えた奇妙な編成の四重奏曲が作曲され、ナチス将校と捕虜たちを聴衆として初演されたという話である。ちょっと20世紀の音楽に関心があればみんな知っているようなエピソードだ。  ところがこの逸話、すなわち《時の終わり…》成立史についてのきちんとした研究がないのだそうだ。そこで本書の著者リシンが乗り出した。彼女はアメリカの音大で教えるクラリネット奏者。当時の生き残りたちに取材して、初演の観客が何千人とか、チェロの弦が3本しかなかったといった「神話」のうそを正していく。その姿勢はジャーナリスティックなものではなく、ごく真っ当な歴史家のものだ。その意味では地味で面白みのない本のようだが、そんなことはない。  興味深いことのひとつは、フランスを手なずけて、国際的にも捕虜を人道的に扱っていると宣伝したいナチスの捕虜収容所の状況。東欧の捕虜と比べて優遇されるフランス兵。とりわけ芸術家には収容所の劣悪な環境下で許される範囲での優遇措置がなされる。とはいえ、ナチス側も芸術に理解ある所長や、弁護士の将校がいたからこそ、メシアンへの援助がなされたのだ。  それから、4人の主役級登場人物の群像がまた興味深い。チェロがパスキエ・トリオのエティエンヌ・パスキエだったというのは知っていたが、クラリネットとヴァイオリン奏者の知名度は低い。パスキエはメシアンとともに《時の終わり…》初演後、程なく釈放され、名演奏家としての生涯を送るが、他の2人の釈放は遅れる。ヴァイオリン奏者のジャン・ル・ブーレールはあたら無為に費やされる捕虜生活の中で、キャリアが遅滞してしまったことに絶望し、職業を代えてしまう。  クラリネット奏者のアンリ・アコカはユダヤ人、果敢で行動的な性格で、クラリネットを抱えたまま収容所を脱走し、ドイツ占領下のパリを逃れて、自由地域のマルセイユに行き、マルセイユ占領後は偽名を使ってパリでオーケストラ団員として活動する。アコカの冒険は本書の中でもっとも活動的なもので、著者もアコカの人となりに惚れてしまったかのようだ。この直截で行動的なアコカに対して、メシアンの人となりは謎めいている。カトリック信仰の中に引きこもって、一人だけ別の世界を見ているかのようだ。  翻訳は読みやすいが、イギリスの作曲家ジョージ・ベンジャミンがジョルジュ・ベンジャマンなどと中途半端なフランス語読みになっていたりするところは勉強不足。

Posted by ブクログ

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