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新聞小説の時代 メディア・読者・メロドラマ
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新聞小説の時代 メディア・読者・メロドラマ

関肇【著】

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新聞小説の時代 メディア・読者・メロドラマ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新曜社
発売年月日 2007/12/14
JAN 9784788510791

新聞小説の時代

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2011/02/02

 ピーター・ブルックス『メロドラマ的想像力』(原著1976、産業図書)の成果を踏まえつつ、明治30年代の「金色夜叉」「不如帰」、家庭小説等、文学的に無価値とされてきた小説をメロドラマとして再評価する研究書。  関/ブルックスによれば、メロドラマは、フランス革命後に現れた芸術表現...

 ピーター・ブルックス『メロドラマ的想像力』(原著1976、産業図書)の成果を踏まえつつ、明治30年代の「金色夜叉」「不如帰」、家庭小説等、文学的に無価値とされてきた小説をメロドラマとして再評価する研究書。  関/ブルックスによれば、メロドラマは、フランス革命後に現れた芸術表現の形式であり、勧善懲悪の物語を提示することで人気を獲得し、新興ブルジョワジーの世界観とモラルを正当化した。メロドラマは、強烈な感情に訴える倫理的ドラマであり、恋愛もの、家庭もの、冒険もの、歴史もの、犯罪ものなど多様な形態が存在する。  メロドラマの構造にはパターンがあって、主人公はほとんど無垢な女性で、落ち度もないのに迫害されたり不治の病に犯されたりするが、無力で受動的な態度で試練を耐え続けるうちに、どこからか窮地を救う善意の第三者が現れて、偶然の出来事が何度も起こった末に、最終的には善が勝利する。  さて、本書によれば、日本でメロドラマが文学をリードしたのは明治30年代であり、新聞が大衆的なメディアへと急速に発展した時期と重なる。善悪二元論的な対立を軸とする類型的なキャラクターや、偶然性の多用や劇的などんでん返しといったメロドラマの特徴は、新聞連載という形式の制約を乗りこえることを可能にした。  明治30年代のメロドラマは、1・新聞小説として大衆読者を相手とすること、2・連載小説として興味を引きつけていく必要があったこと、3・メディアミックス展開、といった必要性からあのような物語形式になったと説明されるのだが、しかし、こうした説明は、ケータイ小説など、まさにメロドラマの特徴を備えていると同時に、それが読まれるメディア状況なども明治30年代とかなり似ていることに気づく。  したがって、本書は、ライトノベルやケータイ小説、現在のドラマなどを考える上でのヒントがたくさん詰まっていると言えるだろう。  ライトノベルとの類似性といえば、すでに新聞小説では普通のことになっており、読者がそれを求めていたにもかかわらず、尾崎紅葉は挿絵があると言葉で描写することが制約されるからと、かたくなに挿絵を拒んでいたというエピソードも面白い。  そうした細部のエピソードも含めて、現在の文学をめぐる状況を知るためにも読まれるべき研究書である。

Posted by ブクログ

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