有閑倶楽部 史上最大の誘拐 コバルト文庫

下川香苗【著】, 一条ゆかり【原作】

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2007/12/10
• JAN: 9784086011099

商品レビュー

2011/02/25

『有閑倶楽部』が小説になってる！？と驚きました。
まごうことなく、一条ゆかりのイラストの表紙です。
あの豪快で爽快なドタバタ学園ドラマが、どんな風に小説化されているのか、興味しんしんで読んでみました。

悠里の誘拐事件と美童の太平洋上での恋話のあと、全員がロックスター殺人事件に巻き込まれ、そのどれをもさまざまな活躍を経て切り抜けるのですがた、結局6人は仲良く留年します。
文章化されたことで、オリジナルのコミックのパワーと勢いはなりを潜め、状況説明調になっているのが残念でした。

もちろん、説明が詳細になったことで、読み飛ばしていた細かな情景描写や、キャラクターの心理はよくわかるようになりましたが、この作品にとってテンポの減速は致命的。
ありがちな学園ものになってしまったような気がします。

本のタイトルを見る限りではわかりませんでしたが、これはノベライズ第二弾だそうです。
あえて表紙に明記していないのは、なにか出版社の方針でしょうか。

コバルコ文庫では、ほかにも『ラブ★コン』『君に届け』『NANA』などをノベライズ化しているようですが、あまりにコミックの印象が強すぎると、文章に直すのはかなり難しくなり、原作読者を満足させられるかわかりません。
思うよりもハードルの高い企画だと思いました。