総合型地域スポーツクラブの時代(第1巻) 部活とクラブとの協働

黒須充【編著】

• 販売会社／発売会社: 創文企画
• 発売年月日: 2007/10/15
• JAN: 9784921164614

商品レビュー

2024/05/20

生涯スポーツと競技スポーツ、学校運動部活動とスポーツ少年団、（特定種目の）スポーツクラブなど、対象や種目が個別/限定されているスポーツ環境の矛盾を捉え、様々な年代・種目を超えて一つの繋がりにまとめ、スポーツを楽しむ環境を再構築し、ひいては生活や地域の課題解決にも繋がる、というのがこの本で取り上げている「総合型地域スポーツクラブ」の目指すところ（たぶん！）。

この巻では副題に「部活とクラブとの協働」とあるように、学校運動部活動の諸課題の解決を中心に書かれている。一読した後の感想は、率直に「大変そう…」（(^^;) ）中学時代、平日は毎日練習・土日祝はすべて練習試合…　が嫌でやめた身としては、部活動がクラブに移行して「スポーツの楽しみ」を味わう、のではなく、一貫した指導体制（←この本の主眼の一つ）のステージに移行しただけ、で、子どもはしんどいんじゃないかな…　と思ってしまう。スポーツ以外のこと（趣味、友だちと遊ぶ、ボンヤリする…etc）をする時間がないことが、楽しみのスポーツをしたい青少年を学校部活動から遠ざける一因ではないのかな…。

また、出版年が結構古い（＝構想の初期な）ので仕方がないが、現実が理想にまったく追いついていないのでは？　特に第3部のＱＡでは、学校運動部活動の課題を総合型地域スポーツクラブがあればこんなに解決できますよ、という論調になっているけど、第2部の事例に照らすと「そもそも、クラブがそこまで育ってないじゃん？」と思わざるを得ない。

我が街にも総合型地域スポーツクラブがある（はずだ）が、最近はとんと名前を聞かない。たしかにこの本の理想型の部分ができているなら、ちょっと参加してみたいと思うけど…（いや、自分はジョギングで、好きな時に考え事しながら走りたいから無理か）。成人以降のスポーツ行動については事例以外、ほとんど言及されなかったけど、以降の巻では出てくるのかな？このクラブ制度にとって、かなり大事なことだと思うけど…。

余談ながらちょうど読了したとき、（コロナ後のこともあるけど）青少年のスポーツしない率が過去最高になった、というニュースを見た。スポーツを楽しみながら長く続けることの何と難しいことか…。