商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 福音館書店 |
発売年月日 | 1983/03/25 |
JAN | 9784834009248 |
- 書籍
- 児童書
ジャングルの少年
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ジャングルの少年
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転覆した汽船から脱出した乗客30人がたどり着いのはジャングルだった。ジャングルで生きる知識も術をもたない乗客たち。そんなとき、インディオの少年クメワワが現れて、乗客たちに知恵と食糧を授けていく。 部族を調査するため汽船に乗っていた「わたし」は、クメワワと行動を共にするうち、クメ...
転覆した汽船から脱出した乗客30人がたどり着いのはジャングルだった。ジャングルで生きる知識も術をもたない乗客たち。そんなとき、インディオの少年クメワワが現れて、乗客たちに知恵と食糧を授けていく。 部族を調査するため汽船に乗っていた「わたし」は、クメワワと行動を共にするうち、クメワワのもつ知恵とたくましさに驚嘆していく。クメワワは、野生動物たちの足跡から行動を手に取るように把握したり、ジャングルにある材料から必要なものをなんでも作ったり、周囲の状況から数秒後に起こる危険を完璧に予測したりする。 読者は、クメワワと、彼にニイクチャップ(ひげづら男)と呼ばれている「わたし」と一緒に探検している気持ちになって、クメワワの知恵に驚嘆していくだろう。カメの卵をとったり、葉の筋からロープを作ったり、パイナップルやハチミツをとったりするのは楽しい探検だった。 クメワワがよく引用する長老マロアの言葉がどれも含蓄に富んでいて、その言葉だけずらっと並べるだけで面白いと思う。 「長老のマロア言った。知りたがる気持かくす、ほんとのことわかる。」P36 「長老のマロア言った。水のなか、ピラニヤに気をつけろ。水の上と陸の上、おせじ言うひとに気をつけろ。」P43 「長老のマロア言った。人間なんでも考える。けもの考えない。しかし、なんでも知っている。」P76 もっともっと、たくさん出てくる! しかも、その言葉がジャングルの中での具体的な出来事に合わせて語られるので、マロアの言葉が意味するところが心にストンとおちてくる。 転覆した汽船にのっていた「わたし」とクメワワの間で深まっていく友情も素敵で、明日出航すると決まってからの2人のどことなく別れを惜しむような素ぶりが切なく、心に残った。最後の別れのシーンも美しかった。
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ユーゴスラビアの探検家である作者が、アマゾン河流域で民族学的調査を行なった時に知り合った少年のことを元にした作品。 河を渡る船の座礁によってアマゾンのジャングルに取り残される一行の前に現れた少年クメワワが、主人公とともに狩りをする様子などが綿密に描かれています。何もないように思え...
ユーゴスラビアの探検家である作者が、アマゾン河流域で民族学的調査を行なった時に知り合った少年のことを元にした作品。 河を渡る船の座礁によってアマゾンのジャングルに取り残される一行の前に現れた少年クメワワが、主人公とともに狩りをする様子などが綿密に描かれています。何もないように思えるジャングルが生きるものたちへの恩恵に溢れている様子や、そこで生きていく様々な知恵と技術が紹介されています。それは松岡達英による写実的な挿絵と相まって、目の前で繰り広げられているかのように差し出されます。魔法やドラゴンの出てこない異世界への入口が、そこに広げられている感じです。これぞ読書による疑似体験の魅力なのでしょう。 何よりクメワワの魅力に引き寄せられます。主人公と人種も年齢も越えた友情を結び共に行動する様子を介して、読み手もまたクメワワと繋がるのでしょう。そして忘れ得ぬ経験となるのでしょう。
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