商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋/ |
発売年月日 | 2007/09/03 |
JAN | 9784167717414 |
- 書籍
- 文庫
ナラ・レポート
商品が入荷した店舗:店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
お客様宅への発送や電話でのお取り置き・お取り寄せは行っておりません
ナラ・レポート
¥775
在庫なし
商品レビュー
2.8
7件のお客様レビュー
作者がキャリアで大事にしてきた母と子の繋がりを、どこまでも強固な主題にして書き上げた一作。 ただこの作品、文学的な業績や主題の明快さには頷きつつも、説明不足から精神的にかなり読み進めづらい構造になっている。 前半の映像的で静謐な奈良の章(この辺りは非常に好み)から一点、突如の時代...
作者がキャリアで大事にしてきた母と子の繋がりを、どこまでも強固な主題にして書き上げた一作。 ただこの作品、文学的な業績や主題の明快さには頷きつつも、説明不足から精神的にかなり読み進めづらい構造になっている。 前半の映像的で静謐な奈良の章(この辺りは非常に好み)から一点、突如の時代逆光と偏在するかのような記憶を保つ親子に置いてけぼりを喰らう読者も多いのでは無いか。 とはいえ、主題さえ理解出来ていれば、大江健三郎や中上健次にも通ずる、執着力の成す骨太の力作。
Posted by
奈良を舞台に、時代を越える輪廻の中、繰り返し語られる母子の苦しみと絆の記憶。 悲惨な世界がいっそう二人の情愛を深く描かせる。 男性である自分と大仏様には考えせられる物語だ。
Posted by
p179 恋しとよ 恋しとよ ゆかしとよ 逢はばや 見ばや 見ばや 見えばや… 芸術的で文芸色の強い本。 二歳の子を残して亡くなった母とその子の、言葉や行動にならない関係を、言語に置き換えたような物語。愛や絆というには特異で普通のお母さんたちが怒り出しそうだし、あまりにも非現実...
p179 恋しとよ 恋しとよ ゆかしとよ 逢はばや 見ばや 見ばや 見えばや… 芸術的で文芸色の強い本。 二歳の子を残して亡くなった母とその子の、言葉や行動にならない関係を、言語に置き換えたような物語。愛や絆というには特異で普通のお母さんたちが怒り出しそうだし、あまりにも非現実的だし。 なぜ唐突に中世に戻るのか、とか大仏を破壊する理由は、とか論理性や解釈をいちいち考えてはいけなくて、各話を一枚の絵巻として、(ところどころの唄をBGMと想像して)読み解いていく感じだった。死を挟んだ母子は、時空と記憶すら超越しつつお互いに呼び交わす、その詠嘆が全編を貫いている。特に「ヨシノ」の凍りつきながら歌うシカの子供が心に残った。語尾に「!」が多かったり、妄執的な思いつきが気になるけど、哀しく狂おしい思いは伝わってきます。 奈良の地、大仏、耳を切り落としたシカというモチーフがまた独特で考えさせられるところ。
Posted by