兵士ピースフル

マイケルモーパーゴ【著】, 佐藤見果夢【訳】

• 販売会社／発売会社: 評論社/
• 発売年月日: 2007/08/15
• JAN: 9784566024045

商品レビュー

2021/02/16

【人殺しに参加しなかったことで処刑された人たちがいたこと】
私たちが忘れてはいけないことがある。
第一次大戦の激戦地、ベルギーの町イーペル。
そこで起きたかもしれない、おそらく起きていた兵士の物語。
モーパーゴさんによる、フィクションではあるけれど、元兵士の話を元にした、限りなく現実に起きた悲劇。
軍事裁判で銃殺刑を受けた兵士たち。
大逆事件を思い出させる、審議の時間の短さ。非情、悲運、惨さ。
歴史を学ぶ大切さや平和の重さと難しさを感じた。良書。
私も訳者同様に、トモの無事とその後の幸福を祈らずにいられない。

2020/06/29

読み終わった後、泣きぬれて「こんなことがあっていいはずがない」と憤りを感じた作品。そして、モーパーゴの祈りも感じた。

モーパーゴの話には、体制や不受理に抗う人が出てくるように思う。有事でも間違っていると思った時に間違っていると言える人は真っ先に体制の餌食になってしまう。

どんな時でも、人間の尊厳や矜持は貫きたいなと思った。

2019/06/24

前半は、頼りになる兄や心を寄せる幼なじみの女の子との、苦悩や幸せを少しずつ感じるような日々の生活が描かれている。後半は第一次世界大戦に突入し、兵士として過ごす中での感情が描かれる。兵士としての生活は、上官からの不条理な罰もあり、身体的・精神的にも辛い生活。また、戦争は、実際に怪我などがなかったとしても、何があるかわからない不安の中でひたすら待つ時間が多いことも改めて気づかされる。
こまかな出来事で左右される感情の揺れ動きがリアルに表現されていて、共感しながらあっという間にお話のペースにのせられてしまう。