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1789年 フランス革命序論 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店/岩波書店 |
発売年月日 | 2007/06/15 |
JAN | 9784003347614 |
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1789年
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商品レビュー
4.7
7件のお客様レビュー
フランス革命は、知れば知るほど面白いです。とんでもなく背景が入り乱れています。 そしてその一つ一つを紐解くことで歴史の流れがまた違った姿を見せてきます。 神野正史『世界史劇場 フランス革命の激流』は革命そのもの流れを知るには最適な一冊でしたが、今回のルフェーブルの著作はそもそも...
フランス革命は、知れば知るほど面白いです。とんでもなく背景が入り乱れています。 そしてその一つ一つを紐解くことで歴史の流れがまた違った姿を見せてきます。 神野正史『世界史劇場 フランス革命の激流』は革命そのもの流れを知るには最適な一冊でしたが、今回のルフェーブルの著作はそもそもこの革命が起こる背景は何だったのかをさらに詳しく知ることができます。 この2冊の相乗効果は素晴らしいものがあると私は思います。 フランスに興味のある方にぜひおすすめしたいです。
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本書は正統派革命史学を代表するG・ルフェーヴルによって1939年、フランス革命150周年に上梓された。貴族対ブルジョワという古典的な二項対立図式を修正し、革命は貴族、ブルジョワ、都市民衆、農民による複合革命であったとする。この四者が微妙なズレを孕みながらも部分的に共通する利害に導...
本書は正統派革命史学を代表するG・ルフェーヴルによって1939年、フランス革命150周年に上梓された。貴族対ブルジョワという古典的な二項対立図式を修正し、革命は貴族、ブルジョワ、都市民衆、農民による複合革命であったとする。この四者が微妙なズレを孕みながらも部分的に共通する利害に導かれ、複雑な連合と離反を繰り返すプロセスとして革命を再構成する。アンシャンレジーム下における貴族とブルジョワは決定的な利害対立があった訳ではなく、どちらも芽生えつつあった資本主義の担い手であった。他方でブルジョワは旧身分である貴族に対抗して政治的平等を勝ち獲る上で、都市民衆と農民のエネルギーを利用した。だが最終的には過激な経済的平等を求める農民を切り捨てて財産権を守った。ルフェーヴルは結果的に革命から最大の利益を得たのはブルジョワであると言う。 正統派革命史学とトクヴィルからフュレへと継承された「修正派」との大きな違いは革命前後で歴史は「断絶」しているとみるか「連続」しているとみるかだが、この違いは多分に何に着目するかによる。諸階層の利害は単一の、例えば経済的利害に還元できるものでなく、経済的、政治的、社会的な利害がそれぞれ複雑に絡み合い、その組み合わせパターンによって時に対立し、時に同盟する。そのことを革命の諸段階に沿って明らかにしたのは本書の功績だが、対立の側面を見れば歴史は「断絶」しているし、同盟の側面を見れば歴史は「連続」している。だからルフェーヴルの複合革命論は、その意図を越えて正統派の革命史観(=断絶史観)を骨抜きにしかねない「危うさ」(あくまで正統派にとっての「危うさ」だが)を孕んでいる。 解説で訳者も指摘するように、実証研究が進んだ今日、事実認識としてはもはや正統派も修正派も大差ない。修正派の急先鋒フュレでさえ、実は本書に多くを負っている。ルフェーヴルは、革命の最終的な勝者がブルジョワであり、彼らが手にした政治的平等と経済的自由が歴史の歯車を大きく回転させたという正統派のテーゼに固執するが、ブルジョワが経済的自由を獲得したフランスにおいて、革命を境に資本主義が飛躍的に発展したかといえば、決してそうではない。社会が変化していく過渡期において旧いものと新しいものが混在するのはむしろ自然なことだ。正統派の革命史観には歴史とは人間の主体的意志によって変革すべきものであるという理念が過剰に投影されていることは否めない。
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革命史研究の第一人者による1789年革命の概説書。革命を「アリストクラート」、「ブルジョワ」、「民衆」、「農民」のそれぞれが立役者となる四つの革命の複合体として把握する視座が提出される。全体としては、名士会や全国三部会招集を要請し国王権力の制限を図ったアリストクラートの革命、三部...
革命史研究の第一人者による1789年革命の概説書。革命を「アリストクラート」、「ブルジョワ」、「民衆」、「農民」のそれぞれが立役者となる四つの革命の複合体として把握する視座が提出される。全体としては、名士会や全国三部会招集を要請し国王権力の制限を図ったアリストクラートの革命、三部会における頭数別票決を主張し国民議会を宣言したブルジョワ革命、パリで暴動の主体となった民衆による革命、農村部で「アリストクラートの陰謀」や野盗の跳梁跋扈に対する恐怖から市場経済を否定し商品価格の国家的統制を求めた農民の革命、それぞれが時系列順に継起していったように叙述されている。そして、これらの諸革命の結果として、89年8月4日の封建的特権廃止のデクレ、人権宣言が制定されたとルフェーヴルは捉えている。その点で、F・フュレが攻撃したような革命のマルクス主義的解釈の一つであるとも言えるが、「アリストクラートの陰謀」という集合的心性が民衆や農民の暴動につながったという理解に見られるように、ルフェーヴルがフランス革命を下部構造の観点からのみ解釈しようとしているわけではなく、革命を政治文化の変容と捉える後の支配的研究動向ともつながるような視座がすでに本書で提出されていることも留意されるべきだろう。その限りで、フュレらの「修正派」の解釈が主流となっている現在の革命史研究においても、本書の価値は失われていないと思われる。
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