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増補 ケインズとハイエク “自由"の変容 ちくま学芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房/筑摩書房 |
発売年月日 | 2006/11/10 |
JAN | 9784480090218 |
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増補 ケインズとハイエク
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ハイエクは社会の長期的な持続の条件を考察した理論家である。ケインズは目前にある危機に対処しようとした実際家である。二人の市場経済論の違いはここに由来する。市場が相対的に安定している正常な状態においては適度な価格の変動は資源配分を最適化する。ハイエクが想定するのはこうした市場である...
ハイエクは社会の長期的な持続の条件を考察した理論家である。ケインズは目前にある危機に対処しようとした実際家である。二人の市場経済論の違いはここに由来する。市場が相対的に安定している正常な状態においては適度な価格の変動は資源配分を最適化する。ハイエクが想定するのはこうした市場である。ところが投機が市場を呑み込んで行く時、急激な価格変動が将来の合理的な期待形成を不可能にし、市場そのものを掘り崩して行く。ケインズが直面したのはそういう異常事態である。彼にとっては価格が安定することこそが問題であった。 二人は対立するようで意外に共通性があるというのが本書のモチーフだが、著者の意欲は是とするも十分成功しているとは言いにくい。「ケインズもハイエクも、人間は不確実な世界に生きることを余儀なくされており、まさにそのために、いわば不確実性の中の唯一の確実性としてルールや慣行を必要としている、と考えた」と著者は言う。大筋はその通りだが、ややミスリーディングである。ハイエクはルールも慣行も共に重視するが、市場経済を念頭に置く時、彼の力点はあくまでルールである。それは確実性の追求というより恣意性の排除である。ケインズの場合、重視されるのは市場の安定性を維持する種々の慣行であって、その慣行があやふやになる時、ルールを度外視してでも安定性の回復を優先する。それは当然恣意性を免れない。この違いは大きい。 全体的にハイエクの論難に対してケインズを擁護するというトーンで書かれてはいるが、両者の市場経済論の特質をその思想的な背景も含めて手際良くまとめている。特にハイエクの主著『 自由の条件I ハイエク全集 1-5 【新版】 』の解説は秀逸である。(随分昔に読んだので忘れていたが)自由主義がハイエクの擁護する消極的自由(〜からの自由)から、積極的自由(〜への自由)に力点をシフトしていく分岐点にJ・S・ミルが位置しており、そこには個性を賛美したイギリス・ロマン主義が介在しているという指摘は、興味深い再発見であった。後期ウィトゲンシュタインとハイエクの類縁性の指摘もキラリと光っている。
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間宮陽介 ケインズとハイエク 副題「自由の変容」 とても難しい。副題の自由はもっと広い概念だと思うが、読みにくいので、自由=自由経済と読み替えた。 ケインズとハイエクは、20世期のヨーロッパから 自由経済の変容を感じとり、それぞれの方法で 経済の秩序を図ろうとしたことを...
間宮陽介 ケインズとハイエク 副題「自由の変容」 とても難しい。副題の自由はもっと広い概念だと思うが、読みにくいので、自由=自由経済と読み替えた。 ケインズとハイエクは、20世期のヨーロッパから 自由経済の変容を感じとり、それぞれの方法で 経済の秩序を図ろうとしたことを論じている。ケインズは 政府介入により 経済の秩序を維持し、ハイエクは 法により自由の枠組みを守りながら、市場による自生的秩序を図っている ハイエクの自由論は 常識的な定義で 受け入れやすい〜自由とは、他者を害さないかぎり認められ、法により自由の枠組みが決まり 国家の介入から免れるもの。 ハイエクは 自生的秩序である市場を 自由と位置づけている反面、民主主義を多数者による人口的な秩序形態として 危惧している。民主主義により 権力が 少数者の自由を抑圧することを批判している。
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