商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/新潮社 |
発売年月日 | 2006/07/20 |
JAN | 9784106101748 |
- 書籍
- 新書
ある北朝鮮兵士の告白
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ある北朝鮮兵士の告白
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商品レビュー
3.6
6件のお客様レビュー
脱北した北朝鮮兵士から聞き取った、1人の男性の軍隊生活の記録。 誇張や嘘が混じっている可能性も排除できないが、賄賂が横行する人民軍の内実や、北朝鮮の人々の人間的な面も知ることができ面白かった。
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2006年の書籍のため、未だ金正日時代の話で多少現在の状況とは違うかもしれない。だが時代が金正恩に変わってもニュースでは北朝鮮の飢餓については度々報じられているし、寧ろミサイルばかりぶっ放してる今の方が悲惨な状況になっている可能性も否定できない。北朝鮮は平壌周辺の一部の近代化され...
2006年の書籍のため、未だ金正日時代の話で多少現在の状況とは違うかもしれない。だが時代が金正恩に変わってもニュースでは北朝鮮の飢餓については度々報じられているし、寧ろミサイルばかりぶっ放してる今の方が悲惨な状況になっている可能性も否定できない。北朝鮮は平壌周辺の一部の近代化された高層ビル群を映像で流し、「いかにも」自国の経済的な発展を世界に向けて発信するが、一方で農村部は飢えて亡くなった人々の死体がそのまま放置されてるという話も聞く。何が真実かはわからないが、少なくとも10年前には本書の様な状況にあったのだろう。 本書は脱北した元北朝鮮兵士へのインタビューを元に書かれている。憧れて軍隊に入ったのち、厳しい訓練に耐えながらも着実に実績を積み上げながら士官の道を目指したものの、様々な不条理を目の前にしやがて犯罪に手を染め脱北するという人生を送る。軍隊時代は日々食べ物のことばかり考えていたというから、軍隊でさえも食料事情は最悪な状態だった。兵士は日常的に近隣の農家を襲撃し畑の作物や家畜などを奪っていく。時には飢えた兵士が農民に見つかり制裁を受けるなど、強いものだけが食べていける、正に弱肉強食の世界だ。 古くから朝鮮半島は犬を食べる文化もあるから、捕まえた犬が上官の飼い犬だったなんて話も出てくる。兎に角生きるためには何でも食べなければならない。そうでなければ、顔面や目が黄色くなっていく本書の描写から兵士の極限状態も見えてくる。そしてそうした状況は犯罪も日常化する心理状態に繋がり、やがて人殺しも厭わない兵士まで出てくる。旧日本軍の太平洋戦争中のガダルカナルを思い起こす。 一部の優秀な人材もそう簡単に軍隊のエリートコースを歩むことは難しい。そこには賄賂は当たり前、親の出生も大きく影響する。本書で扱う脱北者は母方が旧時代の地主階級であった事から、政治犯的な扱いを受け、結果的にはエリートコースから脱落した。 恋愛事情についても現代の日本からは程遠い世界だ。勿論幼馴染との恋愛もあるだろうが、兵士になれば青年時代の一番恋愛したい時期に離れ離れになってしまうだろうし、若い女性は口減しの目的などもあり若いうちに見合い結婚に出されてしまう。 本書後半は脱北についてかなりのページを割いて語られている。北朝鮮北部の豆満江は有名であるが、数多くの北朝鮮人が脱北を試み、意外にも成功率は高い様だ。寧ろ日常的に中国に入り、物や食料を手に入れてまた戻る、というのも生活の一部になっていると考えられる。また中国農村部は嫁不足解消のために北朝鮮の脱北女性が人身売買で売られていく事もあった様だ。 この様に元兵士の口からは次々と北朝鮮の悲惨な実態が見えてくるが、相変わらず金正恩は日本海やグアム方面へミサイルを向けている。北朝鮮が核を弾道ミサイルに装着できれば金正恩一族は安泰とでも考えているのだろうが、その前に国民や軍部が決起すればどうにかならないものと考えてしまう。あくまで推測だが、国民が飢えて死にはしなくても決起の意思さえ持てないような弱い状態である方が安心なのかもしれない。 欧米諸国が厳しい経済制裁をすればするほど国民は飢える。その制裁の効果は金正恩には及ばない。このジレンマを各国は抱えながら、まだまだ長い闘いを続けざるを得ないようだ。
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北朝鮮軍隊について知りたくて読書。 1個人の回想を元に構成されているので、どこまで真実かは不明。しかし、ソウル五輪開催の80年代後半から10年くらいの地方の北朝鮮軍隊生活から当時の北朝鮮国内の状況を知ることができる。今もあまり変化していないと思われる。 本書の内容も北朝鮮の現...
北朝鮮軍隊について知りたくて読書。 1個人の回想を元に構成されているので、どこまで真実かは不明。しかし、ソウル五輪開催の80年代後半から10年くらいの地方の北朝鮮軍隊生活から当時の北朝鮮国内の状況を知ることができる。今もあまり変化していないと思われる。 本書の内容も北朝鮮の現実であり、最近報じられる平壌の豊かになったとされる市民生活もまた現実だと思う。平壌と地方との格差が同じ国とは思えないくらい開いているのだろう。それにしても同国の出身成分は恐ろしい。 戦前、著者の父親と叔父のパン屋(延辺龍井)でのエピソードが印象的。こんな日本人もいたことをもっと知る機会が増えるといい。 最後の脱北のノウハウ(p172~)を精読させてもらう。延辺周辺への脱北者については石丸さんの本でも読ませてもらっているが、今の状況はどうなのであろうかと知りたくなる。 読書時間:約1時間35分 本書は知人からいただいています。有り難うございます。
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