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山を走る女 講談社文芸文庫
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山を走る女 講談社文芸文庫

津島佑子【著】

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山を走る女 講談社文芸文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社/講談社
発売年月日 2006/04/10
JAN 9784061984387

山を走る女

¥1,650

商品レビュー

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2024/12/07

シングル・マザーとなって、家族との葛藤や仕事をするうえでの苦悩をかかえながら生きる小高多喜子という女性の物語です。 役所に勤める前田宏という男と数回関係を結び、彼の子どもを身ごもることになった多喜子は、中絶という道を積極的にえらぶことのないまま、子どもとともに生きていく道をあゆ...

シングル・マザーとなって、家族との葛藤や仕事をするうえでの苦悩をかかえながら生きる小高多喜子という女性の物語です。 役所に勤める前田宏という男と数回関係を結び、彼の子どもを身ごもることになった多喜子は、中絶という道を積極的にえらぶことのないまま、子どもとともに生きていく道をあゆんでいきます。ただし彼女は、自分の人生の選択として積極的にシングル・マザーとして生きることを決断したのではありません。自分と子どもとの具体的なつながりをしっかりとつかんでおくことで、彼女の進んでいく道はおのずと定まっていったのです。しかし、家族をはじめとする周囲の人びとは、そうした彼女と子どもの具体的なつながりについて考えおよぶことはなく、あくまで「シングル・マザー」というレッテルだけで彼女にかかわろうとし、そのことに彼女は苦悩させられます。 やがて多喜子は「三沢ガーデン」で働く道を発見し、ダウン症の子どもをもつ神林という年上の男に魅力を感じるようになります。彼女たちは、「山」と呼ばれている郊外の農園で宿泊することになり、多喜子は夜に神林のもとへ向かいます。 本作は、性と出産をテーマにしているという点で、想像妊娠を主題的にとりあげた『寵児』と表裏をなす作品だと解釈することができます。男の視点を前提として性と出産を切り離したうえで、両者の接続を文学における普遍的な主題であるかのようにあつかった小説を、斎藤美奈子は「妊娠小説」と呼びましたが、『寵児』では両者のつながりが女性の主人公の視点からたどられました。ただしその試みは、刊行当時にあっては「女流作家」ならではの視点から性と出産というテーマをあつかった作品という、本質主義的に解釈されることもあったかもしれません。本作は、性から出産へと進んだ『寵児』の道を逆にたどっており、本質主義的な解釈が成り立たないことをはっきりと示しているように感じられます。

Posted by ブクログ

2014/01/25

日本の現役作家では、津島佑子が好きだ。それこそ段違いに抜けた小説群だと思う。 シングルマザーという言葉も生まれていない時代に、私生児を育てる決意をした21歳の若い主人公。殴る実父、病む実母、乳児の入院、職探しの挫折。暗澹たる生活描写が続くなかで挿まれて描かれる育児日誌が哀切で、雄...

日本の現役作家では、津島佑子が好きだ。それこそ段違いに抜けた小説群だと思う。 シングルマザーという言葉も生まれていない時代に、私生児を育てる決意をした21歳の若い主人公。殴る実父、病む実母、乳児の入院、職探しの挫折。暗澹たる生活描写が続くなかで挿まれて描かれる育児日誌が哀切で、雄弁。文章が流麗なわけでもなく、筋立てが巧緻なわけでもないが、滋味あふれる。

Posted by ブクログ

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