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マリーンディアイ【著】, 笠間直穂子【訳】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 インスクリプト/インスクリプト
発売年月日 2006/05/22
JAN 9784900997134

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2024/02/06

"Les garçons"は『三人の逞しい女』の最後の一編に近い読後感。語り手の眼前に何があるのか、概形は掴めるものの詳細までは描写されないことで、これまで語られてきたことと読者の想像力とが掛け合わされ、際限のない絶望感の言いようのない恐怖が立ち現れる。そして...

"Les garçons"は『三人の逞しい女』の最後の一編に近い読後感。語り手の眼前に何があるのか、概形は掴めるものの詳細までは描写されないことで、これまで語られてきたことと読者の想像力とが掛け合わされ、際限のない絶望感の言いようのない恐怖が立ち現れる。そしてそれは強烈な印象を残して唐突に終わってしまう。マリー・ンディアイの小説だ、と感じる一編だ。 彼女のどの作品にも通じるが、物語の舞台や語り手が如何様であるか、は独特なエクリチュールを根気強く追うことでしか見えてこない。"Les garçons"は決定的な「お金のことはあとで」というセリフにより、ここで起きている悍ましい出来事の概形が掴めるが、その他の四編は紡がれる言葉を追っていくことで徐々にその形が見えてくるような見えてこないような、そんな感じだった。現実と妄想のあわいかのような状態が続くものもあり、私はそれほど幻想小説が好きではないのだけど、彼女の作品は唐突に地に足ついた絶望や恐れ、狂気の瞬間が訪れるから、その緩急のリズムに乗せられて、あっという間に読み進められてしまう。 訳者方の以下の発言は、マリー・ンディアイのスタイルを的確に表しているように思えたのでメモ↓ 「外界の描写にしても、ンディアイは、目の前にある風景のあらましを最初から読み手に呈示するのではなく、見ている登場人物の目に留まるぼんやりとした細部を徐々に重ねていって、かなりの時間が経ってから全体の輪郭が読み手の前に姿を現す、といった描き方をする。それは、ある場所に足を踏み入れた人間がその目に受ける光の強度を描くことと似ている。皓々と照らされた明るい部屋から完全な暗闇まで、それがどこだかまだわからないうちに、人はすでにその場所に入ってしまっている。目が慣れるのはその先のことだ。個人の生のありようを身体そのもののレベルにおいて描き出すことへ向かって、ンディアイの文体は作品ごとに研ぎ澄まされていく。」

Posted by ブクログ

2012/04/05

著者のマリー・ンディアイは、1967年フランス生まれの作家だが、名前の「ンディアイ」はフランス人の名としては聞きなれない。 それもそのはず、「ンディアイ」という名は、アフリカ系の苗字で、マリー・ンディアイは、父親がセネガル人であるという。(母親はフランス人) マリー・ンディア...

著者のマリー・ンディアイは、1967年フランス生まれの作家だが、名前の「ンディアイ」はフランス人の名としては聞きなれない。 それもそのはず、「ンディアイ」という名は、アフリカ系の苗字で、マリー・ンディアイは、父親がセネガル人であるという。(母親はフランス人) マリー・ンディアイの写真を見るとアフリカ系の容貌をしている。 そのことを思い出さずにはいられない不思議で衝撃的な小説を一話から読まされる。 夫婦と息子二人が暮らす家に、母親と同じくらいの年齢の女が現れ、顔立ちの整った下の息子を連れて行く。 息子はその女に売られたのだった。 そのお金で、実の母親はパソコンを買い、インターネットの画面で、自分の売った息子が自分と同じくらいの年の女と裸で戯れている画像を見る。 画像を何枚見ても母親には悲哀はない。「きれいな子だ」といって嬉しがる。 母性の希薄や消失は、どの場合もたとえようもない悲嘆と絶望を漂わせる。 しかし、ンディアイの描いたこの小説は、見事に母性とは乖離しているのだ。 「美しい息子は売れる。私の息子は美しいから売れたでしょ。どうよ、私はこんなにいい商品を生み育てたのよ」 アジアの貧しい国のある場所では、幼児売買が行われていると聞く。 親が、食べ物を買うために、ほかの兄弟を救うために、子どもたちは売られ、幼児売春をさせられたり、臓器売買に利用されたりしてるという恐ろしい出来事もあるという。 ンディアイのこの小説は、生活にそんな切羽詰った印象はまったく与えない。 母親は息子を売り、パンではなくパソコンを買う。 父親は家畜を全部殺して出て行く。 そして、自分も売られたいと思う青年がいる。「ぼくを売ってよ!」 表題の「みんな友だち」も不思議な小説だ。 主人公の家にはセヴリーヌという家政婦がいる。彼女は今家政婦であるが、主人公の教え子でもある。 教え子たちの恋愛関係の横糸に、主人公の元教師の威圧的な狂気が縦糸となり絡まりあう。 この本は、なぜか、訳者の解説が30ページもある。 ンディアイのことについて色々と書いてくれている。 17歳で文壇デビューして以来、小説や戯曲、児童文学などたくさんの作品を発表しているようだ。

Posted by ブクログ

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