商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | スイッチパブリッシング/スイッチパブリッシング |
発売年月日 | 2006/08/22 |
JAN | 9784884180263 |
- 書籍
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終わりのない旅 星野道夫インタヴュー
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終わりのない旅 星野道夫インタヴュー
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2019年9冊目。 アラスカに魅せられた写真家・作家の星野道夫さんの生前のインタビュー。自著も圧倒的だが、口語で語られる星野さんの言葉にも、無邪気な少年の心と、大自然から得た世界観が十分に感じられた。死生観を変えられるほどの壮大な自然の姿を、言葉だけでここまで想起させてしまう星...
2019年9冊目。 アラスカに魅せられた写真家・作家の星野道夫さんの生前のインタビュー。自著も圧倒的だが、口語で語られる星野さんの言葉にも、無邪気な少年の心と、大自然から得た世界観が十分に感じられた。死生観を変えられるほどの壮大な自然の姿を、言葉だけでここまで想起させてしまう星野さんを心底尊敬する。 オオカミに襲われるカリブーが、どこかで潔く諦めてしまうという話が本当に印象的だった。「あいつらは自分の生命がひとつの繋ぎに過ぎないことを知っているような気がする」というニックさんの言葉。一つの個体の死が「大げさではない」という。それは命が軽んじられているからではなく、個体よりももっと大きくて長い大自然の流れの中で生き、個体はその連鎖の中のひと粒だという理解があるからなのではないか。つまり、自然や大地に根付いた、本当はとても広くて大きい生死なのではないか。 それは個の生を超えた大きな生とも言えるし、その反対に一つひとつに大げさな意味を持たない生とも言える。実際に星野さんがアラスカに惹かれた理由は、その「意味のない世界の広がり」だったそう。 もしかしたら僕たちは、自然から距離を取れば取るほど、自分という個の意味を考え過ぎ、エゴが肥大し、死の恐怖に繋がっていくのかもしれない。自分という個を大自然の流れの中のひとつと位置づけられれば、エゴはエコとなり、個の死生観も変わってくるのではないか。そういう大きな流れの中では、死は「個の完成」に過ぎず、大きな流れに対する最後にして最大の貢献で、そしてその影響はその後もずっと生き続けるのではないかと感じる。カリブーやアラスカの人々の「淡々とした死」から学べることは多い気がする。 星野道夫さんの人間性の表れもとても面白い。点数が足りなかったアラスカ大学へ「今年は入れないとどうしても困るんです」と学部長に直談判して入学してしまったエピソードなど最高。エスキモーの人々への敬意を抱きながらも、決して神聖視はせずにフラットに観察している視点も良い。そういう姿を引き出していくインタビュアーの湯川豊さんも素晴らしかった。 星野道夫さんの全集をまた読みたくなってしまった。
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星野道夫の本というより、インタビュアーである湯川さんの本という感じ。本人にとっては当たり前で、書くに値しないと思われていたであろうディテールが引き出されていて、おもしろい。でもやっぱり、いわゆる“星野道夫の本”という感じ、たとえば無垢で感傷的な日本語表現に没入する感じはない。イン...
星野道夫の本というより、インタビュアーである湯川さんの本という感じ。本人にとっては当たり前で、書くに値しないと思われていたであろうディテールが引き出されていて、おもしろい。でもやっぱり、いわゆる“星野道夫の本”という感じ、たとえば無垢で感傷的な日本語表現に没入する感じはない。インタビューだけに、より分析的でリアルな内容になっている。
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