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王の挽歌(下巻)
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王の挽歌(下巻)

遠藤周作【著】

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王の挽歌(下巻)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社/
発売年月日 1992/05/15
JAN 9784103035213

王の挽歌(下巻)

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2026/04/30

本作は1992年。93年には三枝成彰作曲による音楽作品、「チェロ協奏曲 王の挽歌」のタイトルになっていて、わたしはこのたびその音楽方面からの取っ掛かりになります。このチェロ協奏曲はとにかくドラマチック、ロマンチックで悲劇的宿命のようなものを印象に重ねる情緒の濃い作品ですが、そこか...

本作は1992年。93年には三枝成彰作曲による音楽作品、「チェロ協奏曲 王の挽歌」のタイトルになっていて、わたしはこのたびその音楽方面からの取っ掛かりになります。このチェロ協奏曲はとにかくドラマチック、ロマンチックで悲劇的宿命のようなものを印象に重ねる情緒の濃い作品ですが、そこから一転して原作を読み始めると、三枝先生は何か勘違いされてるんじゃないかと始めは思われるほど、本作の主人公・大友宗麟、そんなに格好のよい、英雄的生涯とは言いかねます。 小説の冒頭に近い章にオイディプスの神話が引いてあったり、父と子、そして王の死というロマン的なテーマが背景にあるには違いないのですが、とにかく戦国の武将には向かない。文人か貴族的趣味の持ち主で、体力的に虚弱でもあり、何より性格が弱い。妻にも弱い、と、戦国乱世の娯楽小説には到底向かないような人物でありながら、そんな御屋形が勝ったり負けたり、おおむね負けながら、かろうじて一国を保っていく次第に引き込まれるストーリーの上手さを確認したのがひとつ。 物語半ばからは宗麟の息子、義統が現当主として登場してきますが、「ヒロイックでなさ」にかけては父に輪をかけて弱々しい青年。読者としては、宗麟がある程度老成してしまった分をあらためて義統の失敗続きを読み続けることで、ある意味嗜虐的か自虐的愉しみを保ち続けることになる。そんな一見、敗者的なドラマの中にキリシタンの歴史とともにイエズス会士達のヒロイズムとも重ね合わされていく……遠藤周作からはだいぶ長い年数離れていた読者には、これは「一筋縄ではいかない」という気持ちが残り、遠藤文学のキリシタン作品群にも興味が蘇ってきたところです。 音楽からの興味としては松村禎三のオペラ「沈黙」がやはり名作としてあり、しかしその凄惨な話をあまり読み返したくもなくて再読には壁になってしまうところ。わたしはこの次、同じくキリシタン武将として支倉常長を扱った『侍』と、三善晃作曲によるオペラ「遠い帆」に行きます。

Posted by ブクログ

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