商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋/ |
発売年月日 | 2002/11/30 |
JAN | 9784163591704 |
- 書籍
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昭和が明るかった頃
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昭和が明るかった頃
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本書は「諸君!」という雑誌に、1995年1月号から2000年12月号までの間、「吉永小百合という"物語"」として連絡されたものに加筆・再構成を施したもので、2002年11月に発行されている。数か月の中断をはさんでいるとはいえ、月刊誌に5年以上連載されたものであ...
本書は「諸君!」という雑誌に、1995年1月号から2000年12月号までの間、「吉永小百合という"物語"」として連絡されたものに加筆・再構成を施したもので、2002年11月に発行されている。数か月の中断をはさんでいるとはいえ、月刊誌に5年以上連載されたものであり、かなりのボリュームのものだ。 これがどういう本かは、筆者である関川夏央自身が本の中で下記のように紹介しているので引用する。 【引用】 これは映画の本ではない。映画ファンのための追懐の本ではない。高度成長前半期の歴史とその不思議な時代精神を記述するために、もっとも時代に敏感であった映画、とくに石原裕次郎と吉永小百合というスターを擁して、当時の思潮を「知識人」とは無縁な場所で、しかし強力にリードするかのようであった日活映画を、あえて私は材料にとったのである。 【引用終わり】 筆者の本書の意図は、上記の通り「高度成長の前半期の歴史と時代精神を日活映画を通じて」描くことであった。その中でも、人物としては、特に石原裕次郎と吉永小百合に焦点をあて詳しく書いている。 第二次大戦後の日本で、映画は娯楽の王様であった。そのピークは、東京オリンピックが開催された1964年よりも少し前である。映画が娯楽の王様であった時代を日活映画も享受する。当時の日活映画のテーマは、筆者は、「敗戦と占領に必然的に付帯した事実上の鎖国がもたらした閉塞感への強い違和と反発であった。世界への再参加の欲望であった」としている。 映画が衰退した理由の1つは明らかにテレビの普及であり、テレビは平成天皇のご結婚や東京オリンピックによって大いに普及が進んだ。わざわざ足を運んでお金を支払わずとも、自宅で映画やドラマを観ることが出来るようになったのである。 それともう一つ、筆者の言うことが的を得ているとすれば、1964年の東京オリンピックによって、日本は、あるいは、日本国民は、「世界への再参加」を果たしてしまったのである。「世界への再参加」は国民の潜在的な願望であり、それを日活映画のスターたちはスクリーンの中で実現し続けてきたがために、国民的な支持を得て、映画が隆盛を誇っていたのであるが、現実が映画に追いついてしまったがために、そういったことは、国民の願望ではなくなった、すなわち、わざわざ映画で観る必要がなくなったのである。これが筆者の言う、映画の衰退のもう1つの側面である。 こういった全体的な話・物語とは別に、本書では、石原裕次郎が提供した個別の物語、吉永小百合が提供した個別の物語についても詳しく描かれている。東京オリンピックの時には私は生まれてはいたが、物心ついている年齢ではなかったので、本書に描かれている話に実感は持てない。実感を持てるわけではないが、それでも、一つの歴史の解釈として、とても面白く読むことは出来た。
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ふたりの関川夏央が居るな、と思った。ひとりはここに登場する綺羅星の如きスターたちを人間的にかつホットに描写し彼らの運命に感情移入する関川。そしてもうひとりは、彼らの登場した作品や生きた時代を「ダメなものはダメ」とはっきり切り捨ててクールに分析しようとする(多分に頭でっかちな)関川...
ふたりの関川夏央が居るな、と思った。ひとりはここに登場する綺羅星の如きスターたちを人間的にかつホットに描写し彼らの運命に感情移入する関川。そしてもうひとりは、彼らの登場した作品や生きた時代を「ダメなものはダメ」とはっきり切り捨ててクールに分析しようとする(多分に頭でっかちな)関川。両者のせめぎあいがこの本に独自の躍動感と批評性を加えているように思う。それはまるで歴史小説・風俗小説を読んでいるかのようで、しばしばノスタルジーにまみれて美化される「戦後」とはまた違った(矢作俊彦的な?)「戦後」の姿を感じさせる
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昭和という時代を、日活映画、とりわけ石原裕次郎・吉永小百合という二人のスターを中心に描いた秀作。関川夏央近作「三十年代演習」に通底するテーマが、ここでも掲げられている。
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