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福祉国家の闘い スウェーデンからの教訓 中公新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社/ |
発売年月日 | 2001/02/24 |
JAN | 9784121015754 |
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福祉国家の闘い
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福祉国家の闘い
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商品レビュー
3.7
10件のお客様レビュー
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2001年刊。著者は元スウェーデン大使館員、元東海大学教授。◆ビターなスウェーデン論。福祉大国・平和中立国というイメージで語られがちな北欧の雄スウェーデン(尤も、個人的にはそれだけの国と思っていない)。しかし、著者はその内実を暴き、①福祉先進国に程遠く、②ミドルパワー国として、弱者の戦略・外交(欺瞞・狡猾・融通無碍・屈服・面従腹背)を駆使し、国家の存立と平和を図ってきた事実を切り取る。余りに露悪的・侮蔑的な叙述と、反面の日本って良い国、という根拠のない自賛が鼻につくが、瑞典史、特に近代史の叙述は良。 ◇また、瑞典内部の問題点の指摘は具体的で、成程と思うことも多い。◆しかし、どの国にも問題と長所があることは明らかで、それを殊更自慢げに上から目線で開陳されても、という印象は残る。また、紹介される他国の制度をいかに取り入れるかは、その国の文化だけに左右されるものではない。普遍性や問題意識の共通性という分析視座が必ずある。文化が違えばその制度が導入できないとするが如き本書の物言いは、思考停止の最たるもので全く共感できないのだ。 むしろ、予算・機能面・日本の長所を踏まえた部分導入とその範囲を緻密に検討していくべきで、北欧なんて信用ならないの如き本書の主張は、本書が批判する北欧バラ色と五十歩百歩なのである。◇また、こういう著者ほど、米国の経済制度は日本に導入できるというダブルスタンダードを用いがち、と見るのは穿ちすぎだろうか。◆本書の主張部分は話半分、瑞典史・現在の瑞典の問題点など事実の指摘は良と見るべき書か。
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著者が日本人のスウェーデンに対する幻想を打ち砕こうとして書いたのだろうという意欲がうかがえる。しかしそれでも、普段自分の国のことを悪く言ってばかりの日本人からすると、実は照れ隠しであって本当はスウェーデンのことが大好きなのではないかと思われてしまうし、実際そうなのではないかと思...
著者が日本人のスウェーデンに対する幻想を打ち砕こうとして書いたのだろうという意欲がうかがえる。しかしそれでも、普段自分の国のことを悪く言ってばかりの日本人からすると、実は照れ隠しであって本当はスウェーデンのことが大好きなのではないかと思われてしまうし、実際そうなのではないかと思う。だからこそ、悪い面は悪いと実証的に示すことが重要である。本書は著者の豊かな教養に裏打ちされていて、読んでいてとても面白い上、できるだけ公式のデータを用いてスウェーデンの実相を明らかにしようという努力が認められる。しかし、著者の個人的な経験や知人からの伝聞によっている部分も少なくない。そうしたことでしか示せない生活の実態も確かにあるが、やや印象論ともとれるところもあった。そして何より、著者のスウェーデン好きが災いしてしまって、この程度では日本人のスウェーデン幻想は破れそうにない。
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チェック項目11箇所。「お爺さんの一生で何がもっとも重要な変化でした?」、老人の回答は彼の予想もしないものだった、「それはね――家族の崩壊だよ」。昔の大家族は老人や病人や、職のない家族員のために経済的面倒も見てきた、誰かが病気になっても失業しても、家族が面倒を見てきた、この各世代同居の家族が工業化とともに分裂したとき、人々は老人たちの生活を別なやり方で見てやらねばならなくなった、女性たちは家の外で働くようになり、生産に寄与するようになったが、その家での仕事が消えたわけではない、それは誰かほかの人々、つまり公的機関が引き受けねばならなくなった。「もっと働いて貯蓄せねばならない。そのためには刺激が必要だ。市場経済ではムチと人参が必要だ」(経済学者メイエルソン)スウェーデン型福祉が行き詰まった原因はなにかということだが、簡単に言えば経済成長なくして福祉もないということである。近年は親族が介護を負担することを求められており、そのための報奨金も出るようになった、ボランティアはほとんどいない。重い税金で老人福祉を実現してはいる、だがそれは人間連帯の精神からというよりは、それで自分の連帯責任は解除されたという心理を表現しているということだ。個人主義とは一人で死ぬことの覚悟だということであった、だが日本人は、家族に見守られて死ぬことへの執着にとらわれている。どんな立派な社会を造り上げても必ず少数の脱落者、弾き出される人々を防止できないのである、しかもそれを自らの意思で選ぶ人々もいるのだ、人間とはそれほどに難しい存在なのである。
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