刺客の青い花

西垣通(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社/
• 発売年月日: 2000/11/20
• JAN: 9784309013862

商品レビュー

2010/01/30

(2005.02.28読了)(2001.12.28購入)
情報学者の書いたＳＦ小説、第一作。クローン技術が発達した社会では、臓器提供のためや、影武者のための人間が大量に生産される。
影武者からは、生殖機能を奪っている。でも細胞からクローンをつくれるのだから、生殖機能はあまり意味の無いことだと言うことにもなる。
幻児と呼ばれる変装のうまいテロリスト。変装とは言っても付け髭とか鬘とか言う規模ではなく、精巧にできたぬいぐるみ的肉体に入り込むというほどの外見からは全くわからないほどのものと言うのだから、ＳＦの世界と言うことになる。
幻児は夢児のクローンで生殖能力はない。
幻児の狙う相手は、｢あらゆる人体部品取引を徹底的に禁止する、包括的な国際条約｣の成立を目指す中米の大統領。
そのテロリストを追いかける連邦警察、イカリとモーツァルト。
幻児に指令を出しているのは、｢臓器売買と人体加工ビジネスで儲けているスコット｣
幻児を探す19歳の少女、ミン。鳥族の出身だと言う。鳥族には、鳥－天族と鳥－地族がいると言う。ミンは鳥－天族の末裔で、幻児は鳥－地族の末裔だと言う。
この二つの鳥族が結び合わされると、地球の危機が救われるのだと言う。
遺伝子操作の技術によって頽廃に向かう地球は救われるのか。と言うことを西垣さんは言いたかったのだろうか。
小説としての面白さは、今ひとつ物足りないような気がする。

☆西垣通さんの本(既読)
「インターネットの5年後を読む」西垣通著、カッパ･ブックス、1996.04.25
「インターネット社会の正しい読み方」牧野昇・西垣通著、PHP研究所、1996.11.07
「デジタル･ナルシス」西垣通著、岩波・同時代、1997.01.14
「メディアの森」西垣通著、朝日新聞社、1998.10.30
「こころの情報学」西垣通著、ちくま新書、1999.06.20
「IT革命」西垣通著、岩波新書、2001.05.18
「１４９２年のマリア」西垣通著、講談社、2002.07.05
「アメリカの階梯」西垣通著、講談社、2004.09.07

（「BOOK」データベースより）amazon
海の植民地の定期連絡飛行機発着ホールに佇む記憶喪失の男の脳裏に、幼い頃聞いた子守歌が蘇る。伝説の一匹狼のテロリストは、氾濫するコードの奔流の中で、意味ある他者を見出し、新しい物語を紡ぐことが出来るか!激動の時代に揺れる現代日本社会を鋭く風刺、未来への希望を謳う!思想と娯楽の合わせ技、S(スペキュラティブ)F(フィクション)ここに誕生。