商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ベネッセコーポレーション/ |
発売年月日 | 1995/04/10 |
JAN | 9784828825021 |
- 書籍
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001にやさしいゆりかご
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001にやさしいゆりかご
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
ひとは変わらずにはいられない。どんなに大切な思い出だって、簡単にただの記憶に変わってしまう。互いを結びつけるつながりの、なんと細く頼りないものか。そして、そのわずかなつながりでさえ、縺れて、絡まっていく。 001だって、いつかはそのゆりかごを棄てて、歩き出す。いつの日か、そのゆり...
ひとは変わらずにはいられない。どんなに大切な思い出だって、簡単にただの記憶に変わってしまう。互いを結びつけるつながりの、なんと細く頼りないものか。そして、そのわずかなつながりでさえ、縺れて、絡まっていく。 001だって、いつかはそのゆりかごを棄てて、歩き出す。いつの日か、そのゆりかごが恋しくて、戻って来ても、ゆりかごはあまりに小さすぎて、もはや、安らかな眠りを与えてくれることはない。しかし、そこで過ごした日々の安らかさを忘れることはできず、ゆりかごは段々と埃かぶって沈んでいく。 松村さんの過渡期にある作品のように感じられた。時間の流れの中に身を置き、振り返らずにはいれられない、そんな性を持て余しては途方に暮れる、そういう時代のもののように感じてしまう。時間の経過もとてもあいまいで、高校生から働くまで、連続しているはずなのに、ちっとも変った感じがなく急に大人になっていく。何かを拒むかのように、どうにもならない、自分を抱えて、気付いたら何もかもが変わってしまった。そんな浦島太郎のような、感覚に落とされる。この後に続く、『生誕』『紫の砂漠・詩人の夢』『粗茶シリーズ』などが筆者の考えたものを書いたとするなら、ここまでの作品は「感じた」ものを書き上げているかのように思える。 割り切って生きられぬ、迷いながら、それでも歩いていかなければならない、そんな人間という生き物。ひとうはそういうものなのでしょう。哀しみが哀しみであることの喜び。涙さえ流すことも叶わず、何か大いなるものに包まれて、すべてを終わらせたくなるような、そんな諦め。そんなものを抱えて、今を生きてゆく。誰もが、どこかで耳を塞いで目をつぶって生きているけれど、どうしたって、それはなくならないのだから、文学がそんな世界を拾うことは互いに補償し、補完し合っているのだと思う。
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子供の頃いじめられっこだった少年は大学生になって、その見た目ばかりか、社会で生きる術も身につけていた。 それにひきかえいじめっこだった自分は、子供の頃より不器用になって、昔の自分を取り戻したいとあがくばかりなのに・・・という主人公の葛藤を描いたお話。 「001」はサイボーグ009に出てくる天才赤ちゃん。タイトルで惹かれてしまったところもあり。 大学生から社会人になる人、社会人になって2,3年経った人が読むといいかもしれない。 「粗茶」シリーズを再読してから、作家読みしてるのですが面白い!松村栄子。 人間関係の描写が上手。それをテーマに小説を描いている作家さんなのかな、という印象。
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2008.01.19. 時代は違っても、20代くらいの人が抱えてる想いって同じなんだとつくづく思う。主人公の気持ちにリンクして、なんだか辛かったり焦ったり、胸がモヤモヤしたり。松村さんは、そういう閉塞感を描くのがうまいな。そして、このタイトルがとても秀逸だと思う。「007」からき...
2008.01.19. 時代は違っても、20代くらいの人が抱えてる想いって同じなんだとつくづく思う。主人公の気持ちにリンクして、なんだか辛かったり焦ったり、胸がモヤモヤしたり。松村さんは、そういう閉塞感を描くのがうまいな。そして、このタイトルがとても秀逸だと思う。「007」からきたのね(読んだことないんだけど)。好きだということを、確信。
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