英国短篇小説の愉しみ(3) 輝く草地

西崎憲(編者)

• 内容紹介: 内容:輝く草地 アンナ・カヴァン著 西崎憲訳. 殺人大将 チャ-ルズ・ディケンズ著 西崎憲訳. コティヨン L.P.ハ-トリ-著 西崎憲訳. 最後の笑い D.H.ロレンス著 中野善夫訳. スフィンクスの館 ダンセイニ卿著 高山直之訳. 写真 ナイジェル・ニ-ル著 西崎憲訳. ドン・ファンの生涯における一挿話 V.S.プリチェット著 中野善夫訳. ママが救けに アンガス・ウィルスン著 高山直之訳. ユグナンの妻 M.P.シ-ル著 西崎憲訳. 世界河 A.キラ=ク-チ著 西崎憲訳. 短編小説とは何か？ 西崎憲著
• 販売会社／発売会社: 筑摩書房/
• 発売年月日: 1999/04/10
• JAN: 9784480831835

商品レビュー

2016/07/17

玉石混淆って感じ。
チャールズ・ディケンズ「殺人大将」は意外にもスプラッタ。「クリスマス・キャロル」の作者か～？？
好きなL・P・ハートリー「コティヨン」も雰囲気があいかわらず怖い。仮面舞踏会で破局した恋人と会うヒロイン。この会話の緊張感ったら！仮面を取るよ…という恋人にイヤな予感がして逃げ出すヒロインだが…。
ナイジェル・ニール「写真」は拾い物だった。病気の男の子とともに家族写真を撮りに行く母親。「マントルピースに行きたくない」というレイモンド少年のセリフが切実。
アンガス・ウィルスン「ママが助けに」も不気味だったので、ニールともども他の作品を読んでみたくなった。

2014/10/02

１のほうが面白かった。

「輝く草地」アンナ・カヴァン　
傾斜にロープや滑車で繋がれて草刈り・・・なんでなんで？

「殺人大将」チャールズ・ディケンズ
次々と食われる花嫁。ペロー童話にありそう。

「コティヨン」Ｌ・Ｐ・ハートリー　
仮面舞踏会に死んだ恋人は来るの？これが一番正統派かな。チチェスターって発音しにくい。

「最後の笑い」Ｄ・Ｈ・ロレンス　
雪の夜道。聞こえるのー。見えるのー。匂いがするのー。しええ。ロレンゾって響きのいい名前。

「スフィンクスの館」ロード・ダンセイニ　
このスフィンクスはあのスフィンクス？それともただの女性名？まさか女性のスフィンクス？そもそもスフィンクスに性別あるの？

「写真」ナイジェル・ニール　
病気の息子の写真を撮る理由は。酷過ぎ…。

「ドン・ファンの生涯における一挿話」Ｖ・Ｓ・プリチェット　
ドン・ファンの孤閨？怖いベッドもの。

「ママが救けに」アンガス・ウィルスン　
ママの青いカーディガン・・・母の愛は濃ければいいってものでもないらしい。

「ユグナンの妻」 Ｍ・Ｐ・シール　
ギリシャのデロス島に暮らすユグナンに招待され。
・・いやあ、素敵な奥様で・・・。

「世界河」アーサー・キラ＝クーチ　
拷問図のレリーフ。する方もされる方も顔がない。

2014/01/28

ｱﾝﾅ・ｶｳﾞｧﾝ「輝く草地」を読みたくて手に取る。鮮やかな緑、輝く草地。普段何気なく聞く言葉が不穏に感じられる不思議。そこから草地が静かにしかし異常で圧倒的な力で伸び広がるように、恐怖がじわじわと侵食していく。輝く草地が世界を覆うかのように広がっていく様は、人が虫も殺さぬ満面の笑みで暴力をふるうかのように不気味に感じる。