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消された校舎 旭丘高校校舎建て替えてんまつ記
1,650円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 風媒社 |
発売年月日 | 2005/10/31 |
JAN | 9784833110686 |
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消された校舎
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消された校舎
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名古屋市の名門校、旭丘高校の校舎の建て替えをめぐる記録。2005年10月に出版された。 1938年(昭和13年)に建てられた校舎はドイツ表現派風の様式だという。 そんな歴史ある建物に、2000年、建て替えの話が持ち上がる。愛知県は文化財的な検討もまったくせず、耐震性に問題があ...
名古屋市の名門校、旭丘高校の校舎の建て替えをめぐる記録。2005年10月に出版された。 1938年(昭和13年)に建てられた校舎はドイツ表現派風の様式だという。 そんな歴史ある建物に、2000年、建て替えの話が持ち上がる。愛知県は文化財的な検討もまったくせず、耐震性に問題があるとして、建て替えを発表する。 これを受け、名古屋大学の西澤泰彦氏が中心となり、「旭丘高校校舎の再生を考える会」が発足。県の決定に異議を唱える。 県は建て替えの根拠として耐震性を問題にするが、一般論としての構造寿命を計算したのに過ぎず、実は耐震診断は行っていなかった。それを鵜呑みにした県議会は予算を認めたのである。 同会には、同校卒業生の河村たかし(民主党、2010年現在名古屋市長)が加わったり、差し止め裁判を行う。結果は敗訴となるが、裁判所は付言として、文化財の価値を認め、愛知県による建て替えの正当性を認めたわけではないと言明。建物の耐久性はここに診断すべきとし、県と同会が話し合いを持つべきとした。 その後、両者は話し合いを持ち、会は改修案も提示したが、結局受け入れられることはなく、河村議員らの座り込みもむなしく、県は2000年12月に取り壊しを強行した。 同書は、建て替え反対運動側から書かれたものであり、多少は割り引いて読むべきかとは思う。しかし、教育の現場で、耐震性に関して、あたかも診断を行ったかのような説明を行い、文化財的な検討を一切行わず、建て替えを進めていった、ということは、誰が読んでもおかしい。愛知県教育委員会の知的レベルを疑われても仕方ない。また、何もしなかった県議たちも同罪である。 建て替え問題に関しては赤瀬川原平氏、櫻井よしこ氏が文章を寄せている。 櫻井氏はその中で、文化財の登録状況を報告する。少し長くなるが、以下、引用する。 「内容はまさに衝撃的である。長い伝統文化を持つ日本で、保存され大切にされている建造物があまりに少ないのである。 (中略) イギリスは、イングランドだけで国が保護している文化財建造物は93年度で44万1118件にのぼる。歴史が浅いアメリカでも5万1954件である。フランスは3万6948件である。では日本はどうか、ケタ違いに少ない。97年度で2144件のみだ。 (中略) 「保護保存」というと、建物そのものが使用できなくなり、飾りもののようにただ、とっておくだけというイメージを持たれがちだが、そうではない。活用しながら保存するという方法である。にもかかわらず、保存建造物が少ないのは、歴史に対する想いの欠如を表していないか」。 この櫻井氏の言葉には大きく頷く。 本書は編者の闘いの記録であり、志を同じくする者へのエールだと思う。 結果的には建物は残らなかった。しかし、彼らが起こした裁判は今後、前例となるはずで、その意味は大きい。 また、行政が一度、決めたことを覆すのは難しいということも改めて分かった。いろいろと学ぶべき点の多い本である。
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